「どん詰まりOLの凍てついた心を解かすハグ」オー・ルーシー! MPさんの映画レビュー(感想・評価)
どん詰まりOLの凍てついた心を解かすハグ
あり得なさそうだけど、あり得て欲しい。人生どん詰まりのキャリアOLの爆走劇には、設定に多少の無理はあっても、映画だけに許された規格外の展開と、観る側の胸にストンと落ちる人生の真実が潜んでいる。公私共に破綻寸前のヒロインが、訳あって受講させられるハメになった怪しい英会話スクールのアメリカ人講師から受けたあくまで教育上の"ハグ"に、かちかちに凍り付いていた女心が氷解する。という、話の起点に、何ら絵空事の要素はないし、それから始まる、彼を追っかけてのアメリカ西海岸弾丸ツアーの紆余曲折は、監督がアメリカ留学経験者だけあって、その殺伐感に妙な説得力がある。基本的にこのような大胆な舞台転換が、今の日本映画に最も欠けている発想とも思うし。何しろ、主演の寺島しのぶと、英会話教師役のジョシュ・ハートネットにそこはかとない味がある。活躍した時代も分野も場所も異なる2人を出会わせる。これも映画の醍醐味であることは言うまでもない。
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