「語り口の巧みさと個性的なキャラたちに心が弾む」ローガン・ラッキー ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
語り口の巧みさと個性的なキャラたちに心が弾む
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ラスベガスを狙う「オーシャンズ」とは趣が違う。程よく泥と埃にまみれた何ともオーガニックな味わいがスクリーンから伝わってくる。ソダーバーグらしいアーティスティックな遊び心も随所に炸裂し、彼の映画のファンたちは久々の語り口のリズムに「そうそう、この感じ!」と歓喜せずにいられないはずだ。
構成として面白いのは、主人公が挑むミッションの「準備段階」と「実行」とが単純な繰り返しにならないところだろう。観客は準備段階から主人公のすぐそばに目線を据えているのに、実際にはその計画や進行内容についてほとんど知らされない。それゆえ一番身近な目撃者のようにすっかりとダマされながら、事の成り行きを見守ることになる。これぞ語りのマジック。この辺りの匙加減こそ、過去に幾度も犯罪計画をスクリーンに具現化してきたソダーバーグのなせるわざ。そしてこの物語を通じてそっと南部の人々の尊厳に心を寄せるところも実に彼らしい。
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