ローガン・ラッキーのレビュー・感想・評価
全143件中、1~20件目を表示
語り口の巧みさと個性的なキャラたちに心が弾む
ラスベガスを狙う「オーシャンズ」とは趣が違う。程よく泥と埃にまみれた何ともオーガニックな味わいがスクリーンから伝わってくる。ソダーバーグらしいアーティスティックな遊び心も随所に炸裂し、彼の映画のファンたちは久々の語り口のリズムに「そうそう、この感じ!」と歓喜せずにいられないはずだ。
構成として面白いのは、主人公が挑むミッションの「準備段階」と「実行」とが単純な繰り返しにならないところだろう。観客は準備段階から主人公のすぐそばに目線を据えているのに、実際にはその計画や進行内容についてほとんど知らされない。それゆえ一番身近な目撃者のようにすっかりとダマされながら、事の成り行きを見守ることになる。これぞ語りのマジック。この辺りの匙加減こそ、過去に幾度も犯罪計画をスクリーンに具現化してきたソダーバーグのなせるわざ。そしてこの物語を通じてそっと南部の人々の尊厳に心を寄せるところも実に彼らしい。
二度見したくなる仕掛けはさすがソダーバーグ流
チームを組んで大仕事をやってのける犯罪のプロたちをオールスターキャストで華麗に描いた「オーシャンズ」シリーズと比較されることの多い本作。だが一見して明らかに違うのは、今回徒党を組む面々のポンコツ感、ダメダメ感だ。チャニング・テイタムとアダム・ドライバーが演じるローガン兄弟は大ケガや戦傷のせいで人生下り坂。タイトルとは真逆のアンラッキーな二人とその妹、しゃれたスパイよりガテン系の悪党のほうがよほど似合うダニエル・クレイグが扮する爆破の専門家(プロと呼べるのはこの男だけ)と頭のネジが緩そうな弟二人で、人気カーレースの当日に会場の金庫から大金を奪うというのだから、観ている方は笑ったり呆れたりしながら、おいおい大丈夫か、しっかりしろとつい応援したくなる。 あっと驚く結末を知った後はきっと最初から見直したくなるはず。ソダーバーグ監督の復帰作、大ヒットして続編、3作目とシリーズ化されることに期待。
カリフォルニアで撮ってるのかと思うぐらい画面が異常に明るい。アメリ...
カリフォルニアで撮ってるのかと思うぐらい画面が異常に明るい。アメリカ映画にしては珍しく銃が出てこない。刑務所のシーンで揉めても出てこない。これは稀な映画。
ソダーバーグの最高傑作!かもしれない
油断したつもりはなかったが完全に虚をつかれてしまったね。
だって、ガサツでマヌケなヤローどもがおバカな頭をフル回転させてラッキーと腕力とドラッグでハチャメチャやるクライムコメディだと思うよね?
このダニエル・クレイグを見てよ。いかにも暴れて壊して無茶苦茶やりそうでしょ。チャニング・テイタムもアダム・ドライバーも知性とは程遠いような役作りをしてるじゃない。
それが、なんということでしょう。どこからグダグダになっていくのかななんて気持ちで観ていたら全くの逆で、知的で緻密な犯罪計画がスピーディーでスタイリッシュに展開されていったよ。
中盤まで能天気に観ていたせいで色々と伏線を見逃しちまったよ。後で嫁さんに教えてもらったよ。チクショーめ。
終わった後に監督がスティーヴン・ソダーバーグだと知って、なんかもう最初の自分が抱いていたイメージから操作されていたようで悔しいよ。
ジョー・バングの弟二人は正真正銘のマヌケなんだけど、この二人の登場がおバカ映画であるに違いないと私の思考を引っ張りまくったんだ。これだって絶対イメージ操作だよ。
ジョー・バングに説明されてもなお、大量のダイナマイトで吹っ飛ばすもんだと心のどこかで思っていたよ。それがなんだよ、ダニエル・クレイグはダイナマイトどころか暴力すら振るわないよ。結構紳士だよ。
これ全部ソダーバーグの手のひらの上でコロコロされただけだよ。ホントに悔しいよ。
もうソダーバーグの最高傑作でいいよ。
ガサツに見えて実は「オーシャンズ11」よりも繊細な犯罪映画で、カントリーロードとタイトルにもなっているローガンラッキー(ローガン家の呪い)と笑いをスパイスにした極上エンタメだったよ。チクショーめ!
アンラッキー・ローガンの綿密なる犯罪計画
アメリカ南部を舞台にした、乾燥した空気感のクライムミステリ。
東南部の州、ノースカロライナ。
ジミーとクライドのローガン兄弟は、地元では有名なアンラッキー家族の一員。
まともな仕事がなく、犯罪者の子供が同種の犯罪を受け継ぐようなアメリカの片田舎で、地元の大箱シャーロット・モーター・スピードウェイ で開催される一大イベント、NASCARレースで最も金の動くコカ・コーラ600の集金所を狙う。
だが二人で行うには巨大すぎる計画となり、周りにアンラッキーなローガン・ファミリーと組むような物好きはいない。
やっと見つけた協力者は、優秀なドライバーの妹メリー、刑務所で服役中の金庫破りジョー・バング、そして奇妙なこだわりを持つジョーの弟たちだけ。
ジョーの脱走計画に、ジミーの元妻が養育する娘セイディの歌唱コンテストも重なり、スケジュールがどんどん散らかってゆくこの計画を、ローガン兄弟は果たして成功させる事ができるのか。
アメリカ南部の独特の空気の中、一癖も二癖もある南部男たちの、奇妙な文化と風習と価値観にまみれた犯罪計画。
セイディの幼い声で歌われるジョン・デンバーのカントリーロードも、つまずきだらけの計画にいらだったジョーと観客を和ませてくれます。
失敗に失敗を重ね、絶対に計画遂行は無理だと思わせてからの驚きのラスト。
レースのような息をつかせぬ疾走感で一気に駆け抜け、全てが終わった時に、一体だれが幸せになったのか。
計画後、FBI捜査官の視点から内容が語られるスタイルも非常にクール。
南部のコミュニティを描くドラマとしても、個性的なプロたちによるチームケイパー物としてもお勧めできる、オーシャンズ・シリーズを立ち上げたスティーブン・ソダーバーグの力量を示した好編です。
なぜまた「カントリーロード」?と思っていたら・・・
『エイリアン:コヴェナント』と同じ冒頭文。今年(2017年)2回目の「カントリーロード」がメインで使われるのも偶然かなと頭を働かせていると、なんとその『エイリアン:コヴェナント』の主役でもあるキャサリン・ウォーターストンが出演している!その歌詞にもあるウェスト・バージニア州がメインとなる作品です。 鉱山で働くジミー・ローガン(チャニング・テイタム)は足が悪いという理由で理不尽にも解雇される。弟のクライド(アダム・ドライヴァー)は戦争で左手を失うという不幸に見舞われるが、なんとかバーテンダーとして働いている。“呪われたローガン一家”と噂されるが、ここらで起死回生の一発を!と、NASCARのレース中に地下の金庫に集められる売上金を強奪しようと計画を立てるのだ。 壁に貼ってある計画の10か条は全然計画になってないし、かなり行き当たりばったりなのかと思っていたら、そうでもない。まずは爆破のプロであるジョー・バング(ダニエル・クレイグ)の協力が必要となったため、刑務所で面会し、彼を脱獄させ、強盗終了後に再び刑務所に戻すという作戦だ。そのため、クライドがコンビニに車で突っ込み、同じ刑務所に入るという、ちょっとふざけた計画。さらにメリー・ローガン(ライリー・キーオ)と、バングの2人の弟をも仲間に入れる。 全編通してゆるい会話で笑わせてくれる。盗みのシーンもどことなく可笑しい。エアシューターの一部を爆破で壊して現金を吸い取るという珍しい手法なのですが、クライドの義手が間違って吸い込まれるとか、ボケすぎだ。計画は居なくなったクライドとジョーのため刑務所内でも実行される。完全犯罪とするべく、意外にも細かな計画が立てられていたのだった。欲を出すと失敗する。ということが印象に残る。 FBI捜査官役でヒラリー・スワンクを使うなど、かなり贅沢な配役です。なんとも疑わしいローガンたちであったが、アリバイにも気をつかっているので、捕まえることもできない。しかも、盗んだ金の大半をガソリンスタンドに置いて行って、金額さえハッキリさせないところもよかった。 【2017年11月映画館にて】
ゆで卵(笑)
自販機でゆで卵を売ってるとは・・・塩をかけてゆで卵が食べたくなります(笑) 公開される前から「レンタルで観よう」と失礼な決心をしていましたが、面白かったです、ライリー・キーオいいなあ(笑)
ギシュするなら今のうち
将来有望だった元クォーターバックのジミー(チャニング・テイタム)は膝を痛め、 いまはしがない派遣建設作業員。別れた奥さんとかわいい一人娘は別の金持男と暮らしている。イラク戦争に2回従軍し左腕を失ったクライド(アダム・ドライバー)は雇われバーテンダー。不運に見舞われた兄たちを影ながら見守る口の悪い妹メアリー(ライリー・オキーオ)は地元の美容員。そんな3兄弟が、地元ウエストバージニアで行われる一大イベント“コカ・コーラ600”というNASCAR耐久レース会場の莫大な売上金を奪取する計画をたてるのだが… 『オーシャンズ11/カントリー版』などと揶揄されているが、緻密に組み立てられたシナリオはかなりの完成度。映画前半におけるチャニングとアダムのとっぽい会話に騙されていると後で2度見、3度見するはめになるので注意が必要です。特に兄貴ジミーのトラブル発生を事前に予測した保険のかけ方がお見事。見ればわかることをクドクド説明されてもねぇという方だけに、他の考察サイト等ではあまり触れられてないことをここでこっそり教えちゃいますね。 ①1週間早まると何が問題なのか? 金庫番の太めのおばさんの誕生日よりも、1週間早い工事終了が決まってしまったのでは。誕生日でもないのにとボヤくおばさんの車に当て逃げし時間稼ぎ、金庫内にケーキを残留させることに成功します。後は消毒会社に扮したバンク兄弟がケーキにたかったゴキブリの色を判別すれば、自動的に金庫につながるパイプを特定できるわけです。 ②ジョー・バンクの作った爆弾はなぜショボかったのか? 邪魔になる噴出口のみを破壊し、札を回収するためバキュームパイプを突っ込めるだけの隙間があればよかったのです。爆破の影響で落石事故など発生したらそれこそ計画はおじゃんです。わざわざ爆弾専門家ジョー・バンク(ダニエル・クレイグ)に声がけしたのも、そのほどほど加減が素人には難しかったからでしょう。白煙を感知した警備員が現場を見回ることも想定内、自動車工場のアールにタバコを吸ってもらってまんまと誤魔化したのです。 ③金網が壊れているように見せかけたのは 協力を持ちかけられたジョー・バンクとしては、ありったけの金をネコババする目論見が最初からあったはず。何せPOSシステムが破壊されているので現金でいくらあるのか誰も把握できていない、ここが本件のポイントです。に対し、引き際のルールをきっちり守りたいジミーとしては、奪った金の半分を返還しておけば主催者側も訴えを取り下げることがわかっていたはず。よってあそこであえて時間稼ぎ、バンク兄弟がいなくなった隙に残り半分の金を別の車に積みこむ時間を作ったのではないでしょうか。 ④クライドのバーにおかれた古い義手 怪しいとにらんだ容疑者が一同に会しているバーに突如現れたキレキレのFBI捜査官(ヒラリー・スワンク)。ダース・ベイダーを思わせる高価な義手を着けながら接客するクライドの横にポツんと置かれた古い義手。ボヤ騒ぎに紛れて刑務所にこっそり戻った時には、義手は確か現金と一緒に封印されクライドは装着していなかったはず。刑務所のビデオにもしっかり映っていたのでしょう。それがここにあるということは…「あたんたの義手新しくなっているようけど、古いのはどうしたの?」とばかりにニヤニヤ笑いを浮かべるヒラリー・スワンクの目がやけに鋭かったですよね。 ⑤本作制作中に強盗にあったのはあなただけ エンドロールの最後に、実はソダーバーグから重要なメッセージが。「この映画はフィクションです」のクレジットの下に実はこの意味深なメッセージが。制作費をめぐってハリウッドと対立一時監督引退宣言までしたソダーバーグは、現在自身が立ち上げた制作会社で細々と作品を発表し続けています。しかしブロックバスターのように巨額の宣伝費をかけられず興業成績もいまいちとか。本作のようにいい映画は作ってるんですけどね。「ちゃんとお金を奪われて(払って)映画を見てね」お金で苦労しているソダーバーク流の観客もしくは出資者にむけられたジョークだったのではないでしょうか。ふたをあけるまでいくら儲かるのか誰にもわからないところや、後で協力者(出資者)に収益金を分配するところなど、このクライム・ストーリーそのものがどこか映画制作と似ているのです。 今回のコ口ナ騒動で映画関係者も大分痛手を受けているようで、今後湯水のごとく宣伝費をかけられなくなってくる時代がやってくるかも。そうしたらやっぱり本当にいい映画を作れる映画監督さんだけが生き残っていくのではないのでしょうか。
アメリカをやっつけろ
痛快なクライムサスペンス?だけど、アメリカdisがけっこう強烈。 主人公のジミーは夢破れたうえに理不尽な解雇をされた人だし 弟は戦争で腕(前腕と手)を失った退役軍人。 どちらも社会システムみたいな巨大なもんに何かを奪われた人で、 その人たちがザ・アメリカって感じの、まさに資本主義の権化みたいなもんから金を盗む話。 レースの開会式の歌とか、レーサーのユニフォームとか、すごくザ・アメリカ。 大金を盗んで窮鼠猫を嚙むって感じなのに、 猫サイドが痛がらないもんだからWIN-WINっていう。 大企業は転んでもタダでは起きないしたたかさを持ってるとことか ラストシーンにFBI捜査官を出してくるとことか、あそこまでキレイにオチをつけてなお 「全部うまくいくわけないけどね」 みたいな苦味を残すあたりもほんとに粋だと思う。 アダム・ドライバー、やっぱり好きだなぁ。
さすがオーシャンズの監督ならではの痛快作
オーシャンズシリーズを継承した作品だけあって、めちゃ面白かった。個人が知恵で巨大組織から金を盗むという非常に痛快でかと言って暴力を伴わず、コメディ満載の映画だった。トリックの演出とキャラの個性がとてもよくできている。
アメリカ人 金=幸せ
大金を手に入れた、スポーツでライバルに勝った、悪者を成敗した。アメリカ映画はやはり、ツマラナいのが、多い。 でも、たまに、スゴく良い映画も有る。(最近だとフライト、古いのでは2001年宇宙の旅)
【ローガン一家、不運の連鎖を断ち切るために一発逆転を狙う。切なくも面白きソダー・バーグ監督のカムバック作品】
ローガン三兄妹は人生に行き詰っていた。 ・長男、ジミー・ローガン(チャニング・テイタム)はアメリカンフットボールのスター選手だったが、肩を壊しプロを諦めた。 ・次男、クライド・ローガン(アダム・ドライバー)はイラク戦争で地雷で左腕を失い、空虚な日々を送る。不運の続くローガン家の呪いを信じている。 ・長女、クライド・ローガン(ライリー・キーオ)は美人の車好きのスピード狂。 の三兄妹が人生一発逆転の大勝負に出る、というだけで面白さに期待するではないか。 そして、彼らがスカウトした伝説の爆弾魔、ジョー・バングをダニエル・クレイグが嬉々として演じる・ 観ている方は、”ジェームズ・ボンドが笑いながら爆弾を仕掛けている、ああ、脱獄した・・。何だかとても楽しそうだぞ、タトゥもばっちり入っているし・・。”と007では渋さ極まりない、ダニエルをとても新鮮に鑑賞した。 三兄妹が全米最大級のカーレースの売上金を強奪するシーンの間抜けな、面白き展開に笑いを堪える事が難しかった作品。 <2017年11月18日 劇場にて鑑賞>
全143件中、1~20件目を表示