劇場公開日 2018年5月4日

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「画一的な郊外住宅街と住民への違和感や不信感を描く作品の系譜」サバービコン 仮面を被った街 AuVisさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0画一的な郊外住宅街と住民への違和感や不信感を描く作品の系譜

2018年4月29日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

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郊外の町で起きる不穏な出来事という点で、1975年の『ステップフォードの妻たち』(と2004年のリメイク)や、『ウルトラセブン』の「あなたはだぁれ?」(団地の全住民が宇宙人に入れ替わるエピソード)などに通じる物語だ。

米国で40年代末から60年代にかけ、ウィリアム・レヴィットが格安の郊外住宅を大量供給し、「レヴィットタウン」と称する住宅街を各地に建設した。白人中流層が移り住み、その画一的な住居と同様、おそらく住民たちにも同質性を求め、“異物”を排除する傾向が醸成されたのだろう。本作は1950年代に米国で起きた人種差別暴動をモチーフにしている。

マット・デイモンの役は保険金殺人を画策する小悪党だが、非人間的な郊外から抜け出すことを切望した末の破滅的な選択だったのかもしれない。オスカー・アイザック扮する保険屋も、切れ者のようで案外そうでもないキャラがいかにもコーエン兄弟的で絶妙だ。

高森 郁哉