「☆☆☆★★★ 原作は未読。 この監督の作品を観るのは初めて。 全体...」嘘を愛する女 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)
☆☆☆★★★ 原作は未読。 この監督の作品を観るのは初めて。 全体...
☆☆☆★★★
原作は未読。
この監督の作品を観るのは初めて。
全体を通して観ると、それ程とも言えるのだけれど。随所にキラリと光る箇所が有り、今後に期待を抱かせる。
予告編を見た限りでは。蒸発をした男を探す話だと思っていたが、多くの部分で違っていた。
全くこの予告編での巧みな【嘘】には騙された(苦笑)
このストーリー上の問題点として。主演の長澤まさみが、自分で彼のルーツを探しに行く為に、探偵役の吉田鋼太郎の存在感が薄まってしまっているのが残念な所。
勿論小説が基に有る話だし。映画化に向けての時間配分等を考えた時に必要な人物像で。この吉田親子と、彼の過去とを対比させる為の重要性は分かるのだが。結果的にこの過去の家族と、現在の吉田親子との関連性の、強引な描かれ方には違和感が付き纏う。
映画は、出演者の台詞やフラッシュバック映像等を通して、観客に向けて必要以上に過剰な説明をする。
個人的に1番「これはちょっと…」と感じたのが!
遂に突き止めた彼の過去。そして彼の心に重くのしかかっていた事件。
この場面を観客にはっきりと示すのだが。この場面の編集で、直後に長澤・吉田の2人が【その場】に立ち入る。
『令嬢ジュリー』や『野いちご』の名場面や。ジュールズ・ダッシンの『女の叫び』で、メリナ・メルクーリが【その場】に立ち入った瞬間《その惨劇》を見てしまう名演出などを考えた場合に、この場面の編集に於ける順番にはついつい疑問点を感じてしまった。
観ていて「もったいないなあ〜」…と、思った次第。
尤も、「お前の考えなんか知らねえよ!」と言われれば。「確かに…」としか言えませんが(u_u)
但し最後に素晴らしい場面が。
病室での長澤まさみの独白。
緊張感高まる長回し。
徐々に寄って行くカメラワーク。
この場面から、エンディングでの松たか子の暖かみの有る歌声。
この流れは完璧だったのではないだろうか?
長澤まさみは、全体を通しての演技面ではそれほど…なのですが。この場面の長澤まさみは本当に素晴らしかった。
この場面と共に、長澤まさみの脚を愛でる場面が有るだけに採点は甘め(//∇//)
なんだかんだ言いつつも、今後も見続けていきたい監督が現れたなあ〜と思う。
あ?川栄李奈の宮戸優光ばりな後ろ回し蹴りもお見事でした(^^)
2018年1月23日 TOHOシネマズ日本橋/スクリーン6