リバーズ・エッジ : 特集
【行定監督×二階堂ふみ×岡崎京子 伝説的コミック×小沢健二】
衝撃を受けたい? かみごたえのある邦画? エッジーな作品を探してる?
ならば、青春の欲望と焦燥感をとことん突き詰めた本作しかない──
他にはない強烈な映画が見たい、でも共感もしたい――そんなあなたにふさわしい“トガった”邦画が生まれた。「GO(2001)」「パレード」「ナラタージュ」など、挑戦的な作品で邦画の可能性を切り開いてきた異才・行定勲監督が、突出した演技力を誇る異端の女優・二階堂ふみと組んだ「リバーズ・エッジ」(2月16日公開)だ。原作は衝撃作「ヘルタースケルター」の岡崎京子、そして多くのクリエイターが支持する小沢健二が主題歌を担当。あなたを満足させる次の1本は、本作――。
今なぜ、伝説の作品「リバーズ・エッジ」が求められているのか?
それは、本作の4つのエッジが“あなたの生き方”にクサビを打つから──
心をどうしようもなくひりつかせる映画は、いつの時代も私たちの内側に響き、かけがえのない“人生の1本”になる。本作は1990年代を舞台にしているが、見ればきっと、ハートの部分で“今の私たちの映画だ”と思えるはずだ。それは、時代に左右されない普遍的な“若者の痛み”を丁寧に、かつ切実に描いているから。原作・主演・監督・主題歌――これ以上ない夢のコラボレーションが生み出した奇跡の化学反応が、あなたの感性に訴え、心に深く浸透していく。
伝説の漫画家・岡崎京子が、ストリート系ティーンに絶大な人気を誇ったファッション誌「CUTiE」(宝島社)で発表した原作は、リアルな青春をビビッドに描き、93年の連載から25年経った今もなお、多くのファンを生み出している。ファッショナブルな絵柄からは想像できないエッジーな物語も人気の理由の1つ。
同世代の女優たちとはひと味違う、独特の空気感を持つ二階堂ふみ。「ヒミズ」「脳男」「日々ロック」「私の男」などひとクセある作品で存在感を発揮してきた彼女は、10代で原作と出合い衝撃を受け、出演を熱望したという。本作では主人公が乗り移ったような迫真の演技で、異次元の輝きを放つ。
「GO(2001)」「パレード」「贅沢な骨」「ピンクとグレー」――若者の危うい感情をこれまでの作品を通して見つめてきた行定監督は、まさにドンピシャ。原作にほれ込み、「漫画の映画化はやらない」という自身のルールを撤回してまでメガホンをとった本作は、これまでにない“入魂作”といえる。
「モテキ」でも使用された名曲「今夜はブギー・バック」や、SEKAI NO OWARIともコラボするなど、世代を問わず人気を誇るミュージシャン・小沢健二。本作では作品のエッセンスをちりばめた爽やかなナンバー「アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)」で、物語のラストを鮮やかに彩る。
“登場人物 全員病んでる”=それは、私たちの映し鏡──
河原に放置された“死体”がつなぐ《ゆがんだきずな》が向かう先とは?
どれだけ見た目がエッジーでも、その世界で描かれるキャラが魅力的でなければ、私たちの心には残らない。だが、本作はその逆。どのキャラクターも刺さりすぎて、誰が1番か決められないほどに全員が“生きて”いる。皆問題を抱え、欠落している――孤独、空虚、焦燥、嫉妬、欲望、衝動、私たちにはやりたくてもできない生の感情を放出する彼/彼女たちを見ているうち、その誰もが自分の分身だと思えてくる。必死にもがく彼らの姿は、あなたにとっての“救い”になるかもしれない。
誰といても他人事、何をしてても退屈。心が低体温症のようなハルナは、毎日に流され気味の私たちが抜け出たようなキャラクター。だからこそ、クラスで浮いている山田と出会ったハルナの“変化”がすっと受け入れられる。あるシーンで彼女が感情を爆発させる姿は、鳥肌が立つほどリアル!
自分らしくいるだけなのに嫌われ、攻撃される。周囲になじめない山田のような経験が、これまでの人生であるだろう。理解者であるハルナだけに見せる穏やかな表情も、こっそり“秘密の宝物”をめでるのも、私たちと一緒。クールに装う山田の“魂の叫び”を、あなたなら感じ取られるはず。
衝動や欲望が抑えられない、そんなときどうする? 浮気、ドラッグ、暴力――観音崎は一見するとエキセントリックなキャラクターだが、その行動理念は私たちと同じで、心に空いた穴を埋めたいから。彼に隠された“ある事実”を知ったとき、あなたの心は納得と共感に包まれるだろう。
人気モデルながら山田と同じ“闇”を抱えるこずえは、虚無の中で生きるハルナにシンパシーを抱いていく。パブリックイメージと“本当の自分”の間で葛藤し、過食症にまで追いつめられていくこずえの姿は、TwitterやFacebookなどいくつもの顔を持つ、現代の私たちと重なるのかもしれない。
好きになってほしくて、振り向いてほしくて重くなりすぎてしまう――そんな苦い経験、思い当たるふしがないだろうか? 女子力にあふれ、献身的なカンナは、山田への思いがエスカレートしてついには驚きの行動に――。だが、否定はできない。彼女もまた、純粋すぎる人物だからだ。
普段言わないだけで、“ほしがり”な欲望は誰の心にも宿っているもの。お金がほしい、愛がほしい、自分の欲望に任せて“略奪愛”に走り、セックス中だけ生きている実感を得られるルミは、ある意味本能にとことん忠実なキャラクターだ。危なっかしい生き方だが、説得力は抜群。
「生き方にクサビを打ち込まれる」映画体験、久々にしてみませんか──?
良質の証=ベルリン国際映画祭も認める、本作は久々のかみごたえのある邦画
自分の心に突き刺さる映画には、価値観すら変えてしまう力がある。あなたにとって本作が、その1本になるかもしれない。なぜなら、本作は“世界3大映画祭”の1つ、ベルリン国際映画祭のパノラマ部門にオープニング作品として正式出品されることが決定済みだから。オープニング作品は、たった1本しかその座を得られない狭き門。そこに日本の作品が選ばれたのは、快挙だ。つまり、それほどのボーダーレスな魅力が、本作には備わっているということ。ぜひ劇場で、“真価”を確かめてほしい。
人生に影響を与えたのは、どんな邦画? 行定監督の「GO(2001)」や、本作と同じく傑作漫画を映画化した「青い春」、もしくは「キッズ・リターン」や「スワロウテイル」「愛のむきだし」「ゆれる」だろうか。これらの作品に共通するのは、唯一無二の圧倒的な“個性”。本作にも、時代を作った名作群と同じ遺伝子が流れている。あなたを変えるかもしれない1本との出合いは、もうすぐ――。