「重力と垂直運動」甘き人生 Raspberryさんの映画レビュー(感想・評価)
重力と垂直運動
私たちの三次元の世界には重力がある。
エネルギーが加わると物は無情に落下し、停止する。時間と空間を自由に動き回ることは、神にもベルフェゴールにも決してできない。
人の心の動きも、物質における重力の法則と類似しているようだ。
昔の家、思い出の品々、新聞記事の挟まった本がそのままであるように、マッシモの心も9歳のまま留まっている。留まっているどころか、悲しみの淵を知らず知らずのうちに下降している。まさに重力。
パーティでのダンス、女医の存在が、新しいエネルギーとなって、悲しみの淵から押し上げてくれるのかな?…と思いきや、母に抱かれながら入ったかくれんぼの箱は、ブラックホールのように強烈にマッシモを飲み込んで終わる。
決してセンチメンタルでなく、洒落っ気にあふれ、とにかく面白い!!
こんな名作は、監督が、自分の実力と観客の感性を十分に信頼していないと作れないんだろうな。本物中の本物の作品でした。
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