「脚本とカメラワークにもっと工夫して欲しい」ラプラスの魔女 レインオさんの映画レビュー(感想・評価)
脚本とカメラワークにもっと工夫して欲しい
キャストは豪華だがなかなか興味が湧かない
予告を見て思った以上に暗いって感じ。
原作自体も、本格推理ではなく、「非科学的」に事件の解明を。
ミステリーだけど、推理の部分はかなり薄く、トリックを考えることもさらに無駄。
とにかく「ありえない」ことばかり。
原作の東野圭吾は、温泉殺人事件に新たな風を吹かせたがるのがわかるけど、本格推理でもフィクションでも言えないこの作は、多くの読者の期待から外れてるかもしれないかな。
そんな作品をさらに映画化するって、結局推理もフィクション(あれば)も薄っぺらになっちゃう。
ありえない現象を「予知」するのでない一方、一般的な常識・科学者の持つ常識ともまた別で物理的な「予測」にたどり着いた作者。
逆にその手術でなぜ、どうそうなってるかわからないまま。
原作に忠実だが、
原作を2時間に収めることで、さらに雑に見える部分もある。
「予測」と言ってもCGが必要なせいか、嘘っぽくなる。
キャストが豪華なのに、登場人物一人一人の魅力は出せてなくて勿体無い。淡々と進んでいる物語に、何の共感もできなかった。
逆に『祈りの幕が下りる時』を思い出させられた。
あの映画も推理の部分は普通だけど、逆に犯罪者の物語で充実して見事にできて感動した。
唯一豊川悦司の最後の一人芝居みたいな演技が良かったが、
カメラの狂った動きで集中できなかった。
それに甘粕っていう役は前のシーンであんまり出てきてなく、人の話から出たばかりで印象が薄く、
急に彼が心を打ち明けて本性を見せても特に何も思わなかった。
『散歩する侵略者』の最後の長谷川博己を思い出させられたが、カメラはあれの時の方が良かった。
良いところといえば、
クライマックスで教授と円華のやりとりかなー
短いが、唯一のクライマックス。
主旨も明確で、「未来を知りたい?」「未来を知ったらどうする?」というのを考えさせられた。
主題歌の「faded」は魅力的でいい感じだった。世界観はどう映画とマッチするかよくわからなかったけど。
変わったミステリーという認識で見に言った方がいいかもしれない。