「かつてのエポックメイキング」交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション1 いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
かつてのエポックメイキング
かなり実験的で、下世話に言うと『ブっ飛んでいる』アニメであったエウレカセブン。サーフィン、EDM、ヒッピー文化、ウッドストック、インド仏教観念などのカウンターカルチャーをギミックに散りばめつつ、テーマとすれば異種とのコミュニーケーション、そして親を乗り越える子供の成長や葛藤、周りとの軋轢、そして青春みたいな青臭いモノを、12年前の朝7時から、しかも1年間も放映していた。この時間なんてのは子供がウルトラマンや仮面ライダーを観る時間帯だ。アングラ的香り、もっといえばクスリの影がチラつくようなテーマをよくぞ朝早く放映していたモノだと感心したものだ。なので、今の若い人なんて、パチンコ屋のスロットのキャラ位にしか思っていなんじゃないだろうか。或る意味、色々な制約を全てクリアするタイミングを合致できた奇跡の作品を、12年後、どうやってリバイバル、再編集して映画化するのか興味を持って鑑賞することにした。
結論から言うと、かなり苦しい型での出来映えだったのだろう、苦労の色が滲み出る仕上がりである。
今作品は、とにかくエウレカを観ていないとなんのことやらサッパリ分からない。過去作というか本編を観ないと理解不能なのである。それがダメだとは思わない。そういう作品もあっても良いとは思う。ただ、キチンとそれを口酸っぱく宣伝しないと、相当の反発や炎上が予想される造りになっている。時間軸を、過去に過去に持って行く、要は結果を先に見せて、そのきっかけを後に付け足していくストーリー展開は、観客にそれなりの負担を強いる。それは結論が分かっている前提での組立て方なのだから。
実はもう12年前のことだから、どんな話の内容だったか、自分もすっかり失念してしまっていて、『サマーオブラブ』なんてそんなキーワードあったなぁと、ガンダムでいうところの『コロニー落とし』的プロットをかなり興味持っている人以外は、あまり楽しく観られないのではないだろうかと、逆に心配する位である。自分は前述のせいで、興味を余り感じなかったので、その『サマーオブラブ』の映像化をそこまで興味持っては観られなかった。そもそも12年は余りにも長すぎる。もっと早く今作品を制作していれば、興味を持てたファンがいたかもしれない、余りにも時間があの熱を冷まさせてしまったような寂しさを感じてしまうのである。
まぁ、それでも後2作、シリーズがあるようなので、一応追いかけてはみる。一体、誰得の映画なのか、それは全部観終わっての結論だろう。