「酷いものを見せられた」交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション1 ぴすんさんの映画レビュー(感想・評価)
酷いものを見せられた
序盤のサマーオブラブは良かった。
アドロックだけでなくホランド達の働きもかっこよかった。
タルホ16歳がハイスペック過ぎる気もするが…
ただ、説明の字幕が多すぎる。
綺麗な映像、戦闘シーンを見たくても、ぎりぎりの時間になかなかの長文をぶち込んでくるから落ち着かない。
分かりやすかったから良い…としていいものか迷うところ。確かに字幕なかったら分からなかった部分は多いと思う。
まぁそれでもここまでの満足度は相当なもので、これはとんでもないものを観に来たな、とワクワクした。
場面は変わり、やっと主人公のレントン登場(声に多少の違和感)。
楽しい本編がはじまると期待したものだが…
ここからははっきり言って最悪。もう帰った方がマシだったレベル。
まず、ここまでやるかっていうくらいの総集編でした。
しかも新設定を入れつつ時系列を並び替えたので非常にややこしい。
劇中で何度も「PLAY BACK 〜3日前〜」とかしゃれおつなタイポの映像がしつこく出てくる。
非常にテンポが悪い。
それもこれも新設定によるテレビ版との差違を期待させるものかと思って観ていたけど、そこまで新設定が生かされていない。
というか完全に新設定をもてあましてる。
新設定「レントンがビームス夫妻の養子になっている」という部分から、
あの明るい夫婦の元で育っていたならどれだけ明るくまっすぐな子に成長しているのか、
エウレカやホランドとのやりとりもまったく違ったものになるだろう、いったいどうなるんだ…と期待していた。
いざ観てみると、そういう新設定はあるけど、レントンは相変わらず卑屈で鬱憤した生活を送っていて、
テレビ版と同じ流れでゲッコー号に参加し、そこすらも逃げだし、ビームス夫妻と再会していた。
驚愕するのはこの後のビームス夫妻とのドラマもほぼテレビ版と同じ。9年間も養子の関係だったのに(軍学校で離れて暮らしていたとしても)。
ファンなら、家出したレントンを探しもせずに路上で呑気に踊ってたとこで、たまたま再会するビームス夫妻に違和感がない人がいるだろうか。
幼少期から9年も面倒見てる養子の前で、俺の女のケツは最高だぜ、みたいなことを言うだろうか。
テレビ版では印象的だったが、急にできた息子かのように「年頃の息子を持つってのも…」と何度も言うだろうか。
アドロックの息子でなくても養子にしてくれましたかの質問にヒステリックな妖怪人間ベラ顔で当たり前よ!と叫ぶだろうか。
作りが甘いんだよ色々と!!
劇場版にするにあたり、アクセルは出せないし、色々短縮させたいから人気キャラだったチャールズとレイの元で育ったことにして色々すっ飛ばそう感が丸出しなんだよ。
もう一つの新設定ゲッコー号が体制側の組織っていうのは終わってパンフ読んでから気付いたくらい意味の分からん新設定。今後出てくるとは思うけど。
ビームス夫妻とのやりとりは時系列を変えつつも、テレビ版をほぼそのままやるのでかなりダラダラしてる。
ヴォダラクの少女を救いたく奔走するも空回りするという鬱シナリオは必要だったんだろうか。そもそも劇場版ではヴォダラクと出会っていないのに。
ゲッコー号では邪険に扱われ、親を知らないレントンがビームス夫妻の元で親子愛を知るっていうテレビ版のストーリーなら分かるけど、
劇場版はそもそもその温かい家庭にいたはずなのに馴染めずに家出した直後に再会して親子愛に涙。もうよく分からん。混乱。
最初は時系列を変えることによる劇場版ならではの新展開(例えばゲッコー号に乗っていない、エウレカと違う形で出会っている)があるかと思ってたけど特になかった。
そもそもゲッコー号はほぼ出てこない。なので大好きなエウレカとの関係もよく分からない。
ここまでもったいぶるならエウレカとの出会いのシーンには何か仕掛けがあるだろう!て思うもテレビ版と大差なし。
おいおいそんなので名シーンのモーニンググローリーやられても二人の関係性もよく語られてないのに感動できんぞ…
て思ってたら、まかさのそこまで進まず、何一つ盛り上がらないまま主題歌が流れて映画終了。
ニルヴァーシュの戦闘シーンあったっけ?リフしたっけ?ヒロインのエウレカ活躍したっけ?
もうぽかーんですよ。
あんなに気に入ってた主題歌も嫌いになるくらい。
総集編の回想なのに同じシーンを使うのも意味不明。
しかもレントンがヒステリックに叫ぶシーン。もう不愉快。
これほんとちゃんと作ったのか?てくらい粗が目立ちいらいらした。
いやぁほんと酷いものを見せられた。
予習したことが裏目に出たのか、ほんと知ってるシーンをずっと見せられて眠たい。
映画館でこんなに時計を確認したことはなかったな。
まぁそれでもハイエボ2も観に行かないわけにはいかんていう予告だったけど。