「松岡茉優と喜怒哀楽をシェアする117分」勝手にふるえてろ ao-kさんの映画レビュー(感想・評価)
松岡茉優と喜怒哀楽をシェアする117分
映画であれ、小説であれ、登場人物に感情移入できるかどうかで作品の好き嫌いが分かれてしまうというもの。そして、この作品は上映時間の117分間、松岡茉優と喜怒哀楽を共有できるかどうかが正に評価の分かれ道。
彼女が笑い、泣き、怒る。この感情にどれだけ心が揺さぶられるだろうか。こうでありたい理想の自分、そうはなれない現実の自分。ありのままを受け入れてくれる人がいれば、というよくある展開さえも、本作の前では陳腐に映る。なぜなら、ありのままの自分にコンプレックスがあるからこそ、人は自分の理想像を抱くものだからだ。
だが、その理想は他人に見えるものだろうか?そのコンプレックスは他人も理解しているものだろうか?それ故に勝手にふるえる彼女の喜怒哀楽がいとおしく見えてくる。
いくらでも湿っぽく、陰湿に描けたであろうこの物語をここまでコミカルに、且つキュートに、それでありながらもシリアスなバランスを保てたのは、松岡茉優の才能があってこそ。だからこそ、我々観客は彼女と喜怒哀楽を共有できるのだ。
しかし、共有できなかったからといってこの作品を貶すのはナンセンス。ここでの彼女の感情を共有できなかった方は自分がリア充であることを実感して、スキップしながら家路に着けば良いのだ。きっとすれ違う人たちがあなたを祝福してくれるに違いない。
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