劇場公開日 2017年12月23日

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「松岡茉優さんの代表作!」勝手にふるえてろ とみしゅうさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0松岡茉優さんの代表作!

2017年12月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

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『桐島、部活やめるってよ』の演技がとにかく印象的で、「この人は誰だ?」という感じで名前を覚えた松岡茉優さん。
最近だと、『ちはやふる』のクイーン役も素晴らしかった。
顔立ちは整っているのに、いけずな性格で私服がダサいという、まさに漫画的なキャラを完璧に演じきっていて、心から素晴らしいと思った。
そして、ついに彼女の初主演作となる本作が公開された。
とは言え、実はそれほど関心があったわけではなく、たまたま時間が合ったので観てみようかな…と思った程度だったが、これが予想に反して素晴らしい作品だった。
脳内で10年以上にわたって初恋をこじらせているという、なかなか厄介な主人公。
普段は会社の経理として地味に暮らしており、仲の良い同僚はいるが、単調な毎日を送っている。
日々は単調だが、脳内妄想は過剰という、なんとも奇妙な(でも共感できる)キャラを、実に豊かな演技力で見せてくれる。
褒め言葉として言うけれど、松岡茉優さんはちゃんとスクリーンの中で「ブサイク」に見える瞬間がある。
彼女のように整った顔立ちの人を主演にすると、こういう「ブサイクさ」がとってつけたように見えることが多いのだけれど、本作は違う。
「うわぁ、この人めんどくさい…」っていう厄介さと、でもどことなく漂うチャーミングさ。
これをスクリーン上で映像として両立させているのが、本当に素晴らしい。
世間との関わり方を、実に厄介な方向にこじらせている彼女には、しかし心から共感する。
「うまくやっている人々」を妬みつつ、でも他にすべがなく、途方に暮れている時もある。
告白されて有頂天にもなり、不安にもなる。
周りから見たら異常としか思えない言動も、彼女の世界の中では「やむにやまれぬ」ことが理由なのだ。
松岡茉優さんの表情は、劇場のスクリーンという大画面に充分耐えうる者だし、彼女にしかできない演技だと思う。
「大嫌い!でも大好き!」みたいな相反する感情を、実に見事に演じきっている。
これは間違いなく彼女の代表作になるだろう。
2017年の映画収めにふさわしい1本になった。心からオススメ!

とみしゅう