「「異常巻きの日常だよ!」」勝手にふるえてろ puccinoさんの映画レビュー(感想・評価)
「異常巻きの日常だよ!」
また凄い邦画を観てしまいました。
冒頭からこの独特なノリで最後まで行ってしまうのか⁈って、2時間耐えられるか心配でしたが
結果のめり込んで観てました。斬新で面白悲しかったです。
とにかく松岡茉優の演技力と魅力にグイグイ引き込まれていきました。
この子は大丈夫ですか?
って、観てるこちらが心配になるほど不思議なキャラクター「ヨシカ」。
10年片思いって相当キテルし。
一人ならともかく相手がいても誰に向かってペラペラ話しているのかわからない感じもキテル。
周りに聞こえるように独り言をまくし立てるヨシカは妄想力の豊かなコミュ障な女子だと思いましたよ。
途中までは…
すごい極端なキャラだけど、どこか共感して観ている自分がいることに少し動揺。
消極的、引っ込み思案、友達が少ない、上手く気持ちを伝えられない。
自分に自信が持てないから現実逃避することが日常化してしまっていることに自身も気付いているから、
弱い自分を誤魔化すために都合のいいように自分に言い聞かせてなんとなくやり過ごす日々の繰り返し。
でも自分の世界をしっかり持っている。いつも自分と向き合って生きている。
少しひねくれているけれど、自分の感情にとても正直なヨシカが次第に好きになってました。
中学時代ヨシカは教室で独り漫画を描きながら片思いのイチをずっと見ていたけれど、引っ込み思案の性格ゆえに誰にも気づかれない様に視野見?でイチを見ていたので、イチはヨシカに見られていたことに気付いていなかった。ヨシカだけが自分に興味がない子だとイチは思っていた。という事実が10年経って久しぶりに話して判明する。というややこしさ。意気投合したけれどそこで衝撃的な事実が判明し動揺が隠しきれないヨシカの姿が超いたたまれなかった。そして明かされるヨシカの日常の話し相手の人達は実は…
そりゃあ思い詰めるよ。「こんな私なんか絶滅すべきでしょうか?」って。すごい展開です。
呼吸が出来ないほどとてつもない孤独感に襲われるように、現実に引き落とされるように、玄関で孤り大声で泣き崩れるヨシカの姿がもう抱きしめたいほど愛おしくて。一気にヨシカに同情。
心を鷲掴みにされました。
「ほんと私ってヘタレ人間だよ。思ってること沢山あるのに。何一つ言えてない。」
冒頭シーンの意味が分かった時には軽い衝撃。
最後のシーンは喧嘩してるようだけどニは好きな気持ちを伝えてる。
ヨシカも感情をさらけ出して不満をぶつけてる。お互い嘘は言ってない。正直な感情。
だからこそヨシカはニに心を許したのかな。
「勝手にふるえてろ」ヨシカがニに向かって発した言葉ではなく、
目の前の現実を受け入れようと幸せにふるえている自分自身に言い聞かせた言葉かもしれない。
赤い付箋が雨に濡れたニのシャツに沁み込んでいく描写が上手い。
まるでヨシカがニの懐ろの深さに全てを許して溶け込んでいくようでした。
追伸
ヘッドホンから漏れてる変なリズムの音楽がずっと気になってしょうがない。
突然歌い出す。突然幽体離脱?意表を突かれたー!
ヨシカを追いかけてきたニが突然ポンッ!って消えたりするし。まぁ〜クセが多いこと。
二度鑑賞してしまいま…ファーックッ!!!