「東京国際映画祭観客賞受賞、松岡茉優さん東京ジェムストーン賞受賞おめでとうございます。」勝手にふるえてろ aさんの映画レビュー(感想・評価)
東京国際映画祭観客賞受賞、松岡茉優さん東京ジェムストーン賞受賞おめでとうございます。
監督の大九さんが上映前の舞台挨拶で「ヨシカのような人に向けて作った」と言っていた。
残念ながら僕はヨシカのような人間ではなかった。どちらかと言うとイチ寄りの人間。
舞台挨拶で北村匠海さんは「イチは残酷な人間で他人への興味が薄い」と言っており僕もそちら側の人間だった。自分も似ているからそう感じてしまったのかもしれないが、イチは他人への興味が希薄であるにも関わらず、それを思い切って切り捨てることも出来ず、本当の自分をさらけ出せないこと、誰にも理解されないことに孤独を感じている人間だと思った。
上映後のQ&Aで最後のヨシカのセリフ「勝手にふるえてろ」はヨシカ自身に放った言葉だと監督は言っていたが、イチ側の目線で物語に浸っていた僕にはその言葉がイチに向けられた言葉のように感じた。人間関係の中で自分を抑え、誰にも理解されず孤独にふるえていたのはイチも同じだと思ったから。ヨシカのイチへの決別を意味していると僕は思い、突き放されたように感じた。「勝手にふるえてろ」というセリフはイチにこそ伝えられるべき言葉だったと思う。自分が理解されないのと同様に自分も自分のことを想う存在を知らず、その想いを踏みにじっているということを知るべきである。
イチはこれからも1人孤独にふるえることになるんだろう。イチと自分を重ねて観ていた僕には他人事には思えなかった。僕はもう、孤独にふるえているだけなのは嫌だ。
「勝手にふるえてろ」
私もヨシカが自分自身に言ったセリフだと解釈していました。
でもあなたの孤独に震えているイチへの言葉という考えも納得できます。
イチに共感したあなただからできる新鮮な解釈ですね。