あさがくるまえにのレビュー・感想・評価
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心臓移植をめぐるリアルな群像劇と詩的な映像の絶妙なバランス
冒頭、未明にベッドから抜け出した青年が二階の窓からふわっと飛び降りる、そのショットでいきなり心をつかまれた。危険と自由の隣り合わせ。37歳のフランス人女性監督、カテル・キレヴェレの長編第3作にして日本初公開作品。スローを効果的に使った詩的な映像のセンスが抜群で、敬愛するというガス・ヴァン・サント作品に似た雰囲気も。
事故で脳死になった青年と心臓疾患の中年女性を2つの軸とする、それぞれの家族や恋人、医療従事者たちの群像劇。説明しすぎず、省略の加減が絶妙なストーリーテリング。登場人物の想像を実景にシームレスに現出させる手法もうまい。近親相姦を想起させるイメージも描かれるが、誕生と死の重ね合わせだろうか。
タハール・ラヒムが演じる臓器コーディネーターが印象的。はじめは配慮不足の無神経な男のように思えるが、手術のシーン(メイン画像の場面)でそんな予断がひっくり返される。
4.9
個人的には2018年暫定1位
2017年に見ていればトップ3に食い込んでいたであろう本作
開始5分でその中にずるずると引き込まれていった
事故で脳死状態になった少年の人生と息子2人を抱えた心臓の弱い母の人生
二つの軸が交わるとき自分はすごいものを見ているという感覚に陥った
実体験や自分が置かれている現状によって好みが左右する話であることは百も承知だが、後半30分はハンカチ無しでは見ることができなかった
フランス映画ならではの映像で語りかけてくるそれは言葉が一定時間なかったことを気づかせてくれるほど強烈である
さまざまなシーンが脳裏に焼き付いて離れない
事故、家族の悲しみ、医師の心情、母の愛情、息子の不安、愛する人との別れ、譲れない約束、目覚め
愛する人がいる全ての方に見てほしい
喪失と転生
私達の日常は、たった一つの出来事で砕けるほど脆い。今、平穏に暮らしていることが、奇跡のようです。
人はいつか脳死さえ、克服するのかも。臓器は、細胞を培養して取り替えるのかも。ただ今は、出来ることに全力を尽くす。限りある世界で、永遠を求めること自体、間違いですが、それでも全力を尽くす。結果、多くの人の想いが残る。それが、本作のような映像になるとすれば、限りある世界から、永遠に輝く何かを残すことが、できるかも知れません。
個人的には、大切な家族を喪う親御さんの想いに、もう少し寄り添って欲しかったですけど、喪われし想いと、新たなる朝、その境目を垣間見たような、不思議な体験でした。
ところで、運転免許の裏に、○X 記入しました?。あれに書き込むの、勇気要りますよねぇ。
臓器移植を題材にした幻想的な物語
臓器提供者に焦点が当てられていたところが最も興味深かったし、提供する側とされる側を対比させて描いてる点も面白みを感じた。
ただ、臓器提供を受ける側の物語がやや多めのように感じてしまったので少し残念。個人的には、提供する側だけに焦点を絞って描いてほしかったと勝手に思うところだけれども、なかなか難しいんだろうなとも思う。
また、サーファーの視点とか同性愛の視点とか芸術家の視点とか、たくさんの要素が盛り込まれすぎているように感じて、最も重要なテーマが希薄になってしまうような気がした。もっとも、それら多彩な要素が作品を面白くしているとも言えるのだけれど…。
いずれにせよ、臓器移植の難しさは強く感じる作品ではあった。
命の終わりとはいつか?
波
うーん、家族だったら、どうだろな。
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