「勝つためには身を削るという素晴らしさ」女神の見えざる手 松村 訓明(まつむら のりあき)さんの映画レビュー(感想・評価)
勝つためには身を削るという素晴らしさ
「女神の見えざる手」を観て来ました。
ストーリーは、所属する会社の大口顧客が「銃規制法案」に反対のため潰して欲しいと依頼があるものの、主人公は「銃規制法案」に賛成のため、所属の会社から追い出されるものの、仲間を引き連れて「銃規制法案」に賛成の会社に移り、ロビー活動(賛成、反対のどちらも意思表示していない議員に対して賛成票を投じてもらう活動。また、常に先手を打っていくこと)を行って行きます。
その中には、銃の被害にあった人を前面に出して、感情に訴えるといったこともありました。また、自分の仲間をTVに出演させてしまったため、銃を持った暴漢に襲われそうになるのを銃を持った民間人に助けられたシーンがあると銃を規制する方向に動くのか展開が読めなくなるなと思ったりもしました。
「銃規制法案」と言っても、
・現在、国民が所持している銃は回収しない。
・新規に銃を購入しようとする客の身分確認を徹底し、2週間の審査を経る。
といった当然すぎる内容ですので、それをどうして全米の銃協会が「国民の権利の侵害」と言って反対するのか、あまり理解できませんでした。
映画も終盤を迎え、「銃規制法案」の投票前に主人公が別件で書類偽造を行った容疑で「聴聞会」が行われています。その「聴聞会」で野球で言うと、9回裏に満塁ホームランを放つようなシーンがあるのですが、その書類の偽造さえもこの「聴聞会」に呼んでもらうために行っていたとしたら… 背筋がゾクッとしました。結局、主人公は書類偽造の罪で刑務所に服役することとなります。主人公の勝つために身を削るといった覚悟ある姿勢に感動しました。
この映画は、清濁を併せ持つ女性の活躍を描く、良作の映画ですので、時間の許す方は、是非、ご覧になってください。
なお、主人公の「ジェシカ・チャスティン」が、数か月前に観たフランス映画の「エル」(名作)の主人公、「イザベル・ユペール」と雰囲気が似ていると思うのは私だけでしょうか。(笑)
また、映画を観た「シアタス調布・イオンシネマ」という映画館は出来たばかりで、調布駅すぐ近くで足元のゆったりしている清潔な映画館でした。
みなさん、今年はお互いに良い年としましょう。
ありがとうございました。