「見せざる魂。」女神の見えざる手 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
見せざる魂。
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もしも世界各国のロビイストが巧妙な戦略で政治を動かしている
のだとしたら、一見ハチャメチャなあの人の政治にもなんらかの
奇策があるとみていいのだろうか?なんていう疑問さえ湧くのだ
が(たぶんそれは無い)一向に進まない銃規制問題と不正駆け引き
をスリリングに描いた本作は最後まで目が離せず面白い。主人公
スローンが何をどう企んでいたかはすでに冒頭から始まっている
と思って観たほうがいい。おそらくこの視点はそういうことだと
踏んだ自分も最後で裏切られたかと思うくらい先が読めなかった。
敵だらけの中に身を置き、薬で眠らない身体を維持し、肉欲すら
買春で済ませる凄い女をチャステインが見事に体現してしまった。
何でこんなに面白い作品が賞レースに引っかからないのか不思議
で堪らないが、それこそ優秀なロビイストに頼めなかったのかい?
と思ったほど(これも現実か)。自身のピンチや収監は予定範囲内
だった彼女も部下の危険にはさすがに慄いたはずだが、心を入れ
かえるどころか冷徹さを増し、孤高の存在になり切るところなど
本当に鉄の魂。観客の共鳴すら求めないヒロインに女神の称号を。
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