「タイトル通りの作品だ」人生はシネマティック! kkmxさんの映画レビュー(感想・評価)
タイトル通りの作品だ
軽いタッチの映画かな、なんて想像して挑んだのですが、結構な手応えのある、なかなか硬派な作品。
1人の女性が他者に依存することなく自分の人生を生きるというテーマがしっかり伝わってきました。
シナリオライターになる前のカテリンは、おそらく自分の思いを画家の夫に託して生きていたのでは、と思います。夫婦の関係は一見円満ですが、カテリンが経済力を持ち始めると狼狽する夫の姿からは、相互に尊敬し合っている関係ではないことが解ります。
偶然の出会いではあるけれど、カテリンはシナリオライターとしての才能を開花させ、これまでよりも人生が濃厚になっていきます。同僚のバックリーは感じ悪いですが、カテリンの能力を高く評価します。カテリンの変化にしょげ始める夫とは大違いです。
戦時中の話なので、生と死が隣り合わせ。それが故に登場人生たちは真摯に自分の人生と向き合っています。生と死は分断されているのではなく、本来地続きですが、日時生活ではその事実を忘れてしまう。なのでつい無為な時間を過ごしてしまう。
死を思いながら生きる事で、人生をより意味深くできることを思い出させてくれました。
後悔せず、瞬間瞬間を熱く生きなきゃなぁ、なんてボンヤリと思ったものです。
印象深いのは、クライマックスである、カテリンたちが製作した映画を観るシーン。夫と別れ、バックリーとの恋が始まった瞬間に突然バックリーの死に遭遇し、打ちのめされたカテリンを救うのは、自らが創った映画です。観客が映画に勇気付けられる姿を体験し、カテリンはそれに勇気付けられるのです。自分たちの仕事は意味があった。そして前を向くカテリンの姿には感動を禁じ得なかったです。
ロマンス要素も強いのですが、もう少し恋に焦点を当てて描いてくれても良かったかな、なんて思いました。やや気持ちの変化のプロセスが大雑把に思えました。素晴らしい映画ですが、描かれているものが沢山あるせいかややとっちらかっているのが惜しいです。
個人的に40年代の女性のファッションが好きなので(特に髪型)、カテリンがとても魅力的に映りました。カテリン演じるジェマ・アータートンは初めて知りましたが、大変エレガントでほのかにセクシー。しかし、40年代ファッションで見ると魅力が2倍増しなので、現代劇だとかなり違う印象を持つんだろうなぁ。