エタニティ 永遠の花たちへのレビュー・感想・評価
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きれいすぎるけれども。
音楽と映像の美しさが、際立つ作品。
サントラ出してほしい。すごく気持ちの良いピアノ曲がいっぱいかかってて、たまらんと思った。
曲名がわかったのは以下の2曲だけ(ドビュッシーが好きだから知ってただけ)。
他も知りたい。
でも曲目リストどこにもなかったし、エンドロール一時停止するしかないのか。
アラベスク第1番
少女のマチルドと少年のアンリが自転車乗るごっこをするシーン、鳥肌もの。
月の光
アンリとマチルドの夜のシーン
マチルドがお産で死んじゃう要因の妊娠をする夜?
本当にセリフが少なくて、人によっては眠くなるだけなんでしょうが、私はとても心地よく観られました。好きです。
ただ、男性の愛は神の愛より確か、とか、娘もやがて子を産むのが自然、みたいな概念は、21世紀的にはちょっと古いかもなぁとか思いました。
私のように子を産まない女はこの世界の輪にいてはいけない?みたいな気持ちがちょっとだけしました。ちょっとだけね。
でも女の人生のクロニクルのひとつとして、美しく切なく見れて良かったです。
美しさを映画に込めて
ファーストショットからすでに完璧に美しい。
まさかこの美しさがずっと続くまいなと思っていたらこれが本当に冗談抜きでずっと続いた。
この美しさの洪水がむしろ暴力的で非常にドラッギーですらあった。
脳が追い付かない感覚に襲われてくる。
物語は、人が生まれ育ち別れ死にそして未来に繋がるという話。
歴史書の中などでは所謂省略されるような話。
しかしそこには家族がいてそこに生と死があり事件があり愛情があったということを美しく切り取っていく。
恐らく上流階級のあまり生活に困らない人たちの営みで、しかもどの人も愛情を離すまいと常にしっかりしている。
ここに深みがないとか夢見物語だとか言えるかもしれない。
しかし、この美しいシーンの数々を観ていると、この映画の中では人の醜さとか現実の暴力性とかを観たくないと思えてくる。
そして、映画とは即ち虚構の物語なわけで、リアルなことは別に絶対的に必要なわけではないと思えてきた。
この美しいシーン、美しい人々の営みを見続けたい、どうか壊すようなことは起こらないでくれ、とハラハラして観ていた。
まるで、自分の家族に何か決定的なトラブルが起こらないでほしいと願うように。
そして、このような美しいシーンしかないような映像作品こそが、実はとてもぶっとんでいてラジカルで虚構で映画的ではないか、と。
もうとんでもない映画体験だった。
崩れた。
赤ちゃんのシーンとか、初夜のシーンとか、その他にもたくさん可愛らしく、いとおしいシーンがあった。
間違いなく傑作!
人生の最後に、この映画を観たい。
「死ぬ前に何を食べたい?」なんてたまに話題に上ったりするけれど、もし人生の最後に見る映画を選べるのなら、私はこの作品にしようかと思う。もし自分の死期を知ることが出来て、最後に何か1本映画を観るとしたら、この映画を観たい!
それはこの作品が、まさしく自分の人生を思い出とともに振り返っているかのような雰囲気があるからでもあるし、それ以上に、命が受け継がれて繋がれていくことをありありと表現し、生きることも生まれることも死ぬことも見送ることも、とても当たり前のことで美しい自然の摂理だと信じさせてくれるからだ。また、自分の100年足らずの人生だけでなく、自分が生まれる前の歴史と、自分が死んだあとにも続いていくであろう命の永遠をもこの映画に感じ、あぁきっとこの映画を死ぬ前に観たなら、死ぬことを怖いとも哀しいとも思わずに逝けるだろうと思ったのだ。
映画は長い年月を思い出のページを捲るように描いていく。そして嬉しいことと悲しいこと、思い通りになることとならないことを、大凡交互に綴っていく。中島みゆきの歌ではないけれど、喜びを縦糸に哀しみを横糸にして、家族の歴史が編み込まれて過去も現在も未来も織り込んで広がっていく様子がとにかく美しかった。華やかで優美な映像と、美しいクラシック音楽。そして広がっていく命の永遠。すべてが美しい映画だった。
そして物語には、特に女性の生き方の選択があらゆる形で描かれていた。母になる者、ならない者、子を看取る者、子を残して先立つもの、夫を看取る者、夫に先立たれる者・・・そしてその都度その都度下される人生の選択。たった2時間の映画に、女性の人生の選択がこんなにも表現された作品もなかなかないだろうと思うし、そのひとつひとつに胸をぐっと掴まれ、またそのしなやかな凛々しさに心満たされていった。「生きるということは、死者を見送ること」。あまりにも悲しいシーンで、だけど映画を象徴するような一際力強さを感じる名セリフ。とまれ、その死があることで、永遠が生まれているのだ、という希望にもつながるかのようだった。
この映画には2つの永遠が描かれた。命を受け継いで繋いでいく生命という名の限りなく永遠に近いもの。そしてもう一つは死という永遠の眠り。これら2つの永遠を交差させながら美しく壮大に描くことに成功した、素晴らしい作品だった。
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