月と雷のレビュー・感想・評価
全28件中、1~20件目を表示
主演女優・初音映莉子の魅力を再発見
安藤尋監督は成人映画出身というだけあって、濡れ場が重要な位置を占める作品が多い。ただ、近年の市川由衣主演「海を感じる時」、村川絵梨主演「花芯」は文芸調と官能シーンの相性が中途半端で乗り切れなかった。
だが「月と雷」はいい。初音映莉子のプロフィールを見て思い出したが、「ミツコ感覚」、あの何ともつかみどころのない味わいの映画で主演していた。美人タイプではないが、どこか気になる色気を感じさせる。「月と雷」の泰子も、怒りや不安を秘め孤独をかすかににじませつつ、群れない意志も醸し出す。そして脱いだ姿がまた、筋肉の筋が見えるほどの痩身から哀しみを漂わせているようで切ない。3年ぶりの映画出演のようだが、もっと出演作を見たいと思わせる女優だ。
共演陣では、草刈民代がイメージを覆すアルコール依存症の中年女を好演。けだるい、のろのろとした体の動きを、高い身体能力で見事にコントロールしていた。
映画にすると、、こんな感じ…
それぞれ育った家庭環境次第により誰も悪くないし全て有り得る話。結末も不思議は無いし、そのうち戻ってくる事も想像できる。人生っていろいろあってもいいと思う。
ただ、無理に自転車を車に乗せるのは卑怯なやり方、見過ごせることのできない愚行。
時間をかけて見るほどのものではない。
高良さん、草刈さん、市川さんと有名どころが出演しているが、長々と極少数いるかどうかの人を描いているだけ。
物凄く嫌な気持ちになったりはしない、結果的にほとんど皆悪い人ではないというだけで、こんな人も世の中にいるのか。子供の心は傷ついただろうな。といった感想をもつが、だらだらと長く見る必要があるかと聞かれればない。
唯一、草刈さんがノーメイクに近いだらしない役で出演しているのが意外で、役の幅が広がった感はあった。
フラフラしてる役といえば男はつらいよのとらさんだと思うが、あれはエンタメとして楽しく、明るく、温かさもあると思うが、その対極のようなイメージ。
表現にモヤつくところはあるが、暗い終わり方ではない。
良く分からん
原作未読。
難しいワケでは無く、演出でワザと切っているんだろうか?原作もなんだろうか?智が普段何をしているのか、仕事をしてるのか、男にパラサイトしてる母親にパラサイトしてるのか?泰子が何故、あの男と結婚する気になっていたのか?直子は何故、あぁ言う生活を繰り返すのか。それらが一切不明なまま始まり終わった。
時間経過も良く分からん。智が不意に現れ、合体し、テレビ使っての母親探し、その後妊娠発覚。最初の合体で受精したとしても、三ヶ月前後は経っているだろうに、その間何してたんだろう?智と同居?婚約者にバレず?
最後、かなり腹が大きくなった泰子が出たけど、流石に仕事は休んでるだろうけど、生活どうしてんだろう?そして、智は最期には逃げた?
自分は、最期の泰子のフッと笑った顔は「あぁ、似たもの母子だなぁ」という表情に見えた。
外的制度に守られた関係に安住していいのか
本作の原作者は角田光代氏である。現実を決まりきった様式では描かない角田氏の作品に登場する人々は、みなユニークな言動をするが、ふと考えるとそれがいちばん身近な現実だったりする。
同氏の「八日目の蝉」で心に残るのは、血や法律で結ばれていない誘拐女と幼女の絆が、いつかその人を支える糧になっていたという、普遍の愛への信頼とでも呼ぶべきものだった。それは「家族とは何か」をテーマとする疑似家族の物語といえる。
本作も同様、家族をテーマにした疑似家族の物語である。といっても「八日目」のようなドラマティックな展開はなく、家族を喪失して空虚な女性の下に、偶然訪れる疑似家族の人々のユーモラスな言動や、その人々との関係が作品の中心を占めている。
はじめは「おいおい、こんな何も起こらない疑似家族関係を真正面から取り上げて面白くできるのか」と心配してしまうのだが、それは杞憂に終わる。なぜなら、面白いから。その面白さは、登場人物たちの魅力的な設定から来ており、疑似家族は主人公の女性を確実に癒していく。
彼女は何故癒されるのだろう?
言うまでもなく失った家族の代替をしてくれるからだ。
寂しい時には肌を温めてくれ、実の母を探してくれと言えば探し出してくれる。
米のとぎ方も知らないので教えてあげれば喜び、今度は自分にご飯を炊いてくれたりする。中にはトラブルを抱えた人もいるので、その悩みの解決に付き合ってやったりできる。空疎な生活は温かいもので満たされる。
では、本当の家族はどうだったか。
実の母親は亭主の浮気をこれ幸いと娘を置き去りにしていくような人、実の父親は娘に新しい母親を探してあげるより家政婦をあてがうような人。
これから家族になろうという男性は、婚姻届で彼女を縛り付けることばかり考えている。
家族とは、やって当然という役割、居て当然という義務のようなもので形成されているものだが、愛情までは保障してくれない。
ところが主人公の周りに現れた疑似家族は、何時居なくなるかわからないが、愛情だけはしっかり伝わってくる。役割や義務からではなく、あなたと居たい、あなたが必要だと求めてくれ、癒してくれる。
主人公の幼児記憶に実母の姿がまったくないのに、疑似家族との体験がいつまでも残っているのは、義務や役割から離れた愛情の記憶こそ重要だからだ。では、愛情がないのであれば、家族とはいったい何の意味があるのだろう。
この逆転した家族関係の中、主人公は疑似夫が疑似妹(血はつながっているが、即席の家族)に好意を寄せているという嫉妬から、突然、何時居なくなるかわからない疑似母に、かつて失踪したことを責め、果たしてあるかどうかわからない実母の愛を奪ったと疑似妹を責め、みな出ていけと怒鳴ってしまう。
これは疑似家族に対して法律上の家族のような役割や義務を求めたのと同義で、およそ無理なことを要求しているから、疑似家族は解体せざるを得ない。
疑似母は主人公が宿した胎児について、「一度始まったものは止まらない。何とかなるもんだよ」と愛情に満ちた助言を残して去っていき、間もなく死んでしまう。疑似妹は海外留学に旅立っていく。
疑似夫だけは「普通にいられる相手だから」と同居を選ぶが、最後にはふらりといなくなってしまう。
しかしその時でも、彼女は子供の頃のように泣いたりせず、微笑むことができるようになっている。そこに疑似家族との癒しの生活の中で生まれた、愛情の絆に対する信頼を読み取るのは難しくない。
そして、やや教訓的に捉え返すならば、「家族のような外的制度により下駄履きした人間関係に安住していていいの?」という作者の声が聞こえてくるのである。制度の中に愛情を注がないと、枯れてしまうよと。
なおこさんがよかった。彼女の存在で、この映画の成功は決まっている。...
なおこさんがよかった。彼女の存在で、この映画の成功は決まっている。女優もよかった。とびきりきれいなわけではない。どちらかというとブスなのがむしろ良かった。角田は好きでかなり読んだけど、これは読んでいない。
主演女優がすごく良かった。
高良は、これは高良的だと思うけど、なおこさんと比べると、あまりに薄っぺらいのが気になる。
妹も良かった。
角田の世界には必ず出てくる女たちの連帯。妹にお米の研ぎ方を教えるシーン、良かった。
実母のことも、角田は否定するわけではない。
そして、なおこを追っかけていくシーン。連れて行ってあげればよかったね、昔のあんたをのシーンは胸に響く。
過去のトラウマと向き合う再生の物語。
だからこそ、ラストシーンで、泰子は笑えた。
略奪されたほうの身になりましょう。
婚約中に別の男の子供を妊娠してしまっては、婚約していた男が大迷惑です。かなりのショックでしょう。それを略奪婚側を主人公にしてしまうところが現代文学の迷走であり、文系学部はいらないと言われてしまっても言い返せない弱さにもなりますが、視点によっては科学では解けないでしょう。
やはり男女や家族の基本形はシンプルにあったほうが良いと感じることが、幸福な視点でしょう。
タイトルの意味は本を読まないと分からないのか
茨城県ひたちなか市の山甚道場
勝田
私の風来坊
つわりには三ツ矢サイダー
ツナ缶丸ごと入れたカレー
箸の持ち方
マイク一撃
サトル君は泰子ちゃんとも普通の生活が出来ないと思う
それでもラストの視線の先にさとるくんを見つけた微笑だと思いたい。
タンスを庭で燃やせる田舎
普通の生活をしてきていないのでずれている人たち
騎乗位
体ほっそいなぁ
文学作品
上映館が少なかったのでDVD鑑賞になってしまったが、原作を読んで楽しみにしていたが、映像化するとこんなものかという感じになってした、昔のATG感覚を思い出した。文学作品でエンタメ作品でないので仕方ないがもう少しなんとかならんかなあ、これでは拡大上映は難しかっただろう。この物語のキーとなる直子さんだが、実際にこういう人もいるんだよ。
地味だけど
後半のクライマックスシーンが秀逸。
追い出された男が女の部屋の表で「寝てるかもしれないけど、聞いててくれたら嬉しい」と始まる独白シーン。
「365日お菓子を食べて生活できるような男とは永くは付き合えない」とか良い台詞が詰まってる。
全体的に画が暗いのが気になった。
地味な話だけに太陽光を所々で感じたかった。
( ^ω^ )心が癒えました。ありがとう。
原作 角田光代の作品なので視聴しました。
前作『紙の月』はここ数年の邦画の中でナンバーワンだと思ってます。宮沢りえがどこまでも逃げてくれれば、アジアの片隅で生き残ってくれればいいなと思いました。今回の『月と雷』ですが今ストレスや不安を抱えている人はぜひ見ていただきたい映画です。私自身すごく癒され楽になりました。『何とかなるもんだよ』と草刈民代のセリフがありますが私は救われました、この言葉に。
主人公の泰子にこれから来る運命は過酷なものだろうと思いますが彼女は必ず救われると思います。人生なんとかなるんですから。
変な人たちばかりが大集合...
登場人物が軒並み変人ばかりで、彼らが織り成す家庭崩壊の物語。始めはシュールな話と思っていたのですが、後段あたりから実は喜劇なのだと気付きました。ラストの主人公の微笑みは私には謎で残りましたが... 主人公の初音映莉子さんは体当たりの演技でした。それに草刈民代さんの汚れ役が実に嵌っていました。Shall we dance?のイメージしか無かった私には実に新鮮。それにしても題名が何故「月と雷」なのか最後まで良く分からず仕舞い。雷の部分はちょっと暗示があったようには感じたのですが。やはりそこは原作を読まないと分からないのでしょうか?
俳優がいい。
俳優がそれぞれとても良い。
違う俳優が演じてたら全く印象が違うんじゃないかな。
メインの3人はもちろん、振られる役の人も、石屋さんっぽい人も、妹も、何ならテレビ番組の司会者の人すらも良かった。
これでいいのか
感想としては直子、泰子、智の3人とも幸せになっていないような。直子が何故あのような生き様になったのかも分からなかったし、泰子の無言の暴力性を感じる。それは普通への飢えからくるのか。智は終始謎であった。泰子、智は環境のせいにして生きてきたのだろうが、私には中々理解できなかった。ただ泰子は母になってから変わろうとする形跡が見えた。智は変わらなかった印象。結局は親と同じ道を辿るのか、泰子がシンプルに可哀想に思えた。何とも言えない倦怠感。でもこうなんか引っ張られる、1人の空気を味わいたくなる。原作の雰囲気も知りたい。
全28件中、1~20件目を表示