「ファミリーストーリーと宇宙の旅」ワンダーストラック kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
ファミリーストーリーと宇宙の旅
1977年と1927年のストーリーが交互に描かれる心温まる作品でした。77年の冒頭シーンでは狼の夢を見る少年ベンが描かれ、母親エレイン(ミシェル・ウィリアムズ)が父親の秘密を隠していることがわかる。ただ、エレインが死んだことはかなり抽象的に描かれているため、NYへの大冒険での会話に頼ることになった。ロビーやジャネットなど、家族構成が判りづらい欠点も・・・
どこかで50年の差があるベンとローズの物語が交差するのだと想像しながら楽しむ作品ではあるけど、これがかなり終盤にならないとわからないのですが、年齢的には予定調和といった展開。宇宙好き、学芸員、博物館、書店、狼と、いったいどれがテーマなのかと焦点のぼやけ方も残念だったのですが、ローズは聾唖者であり、ベンも事故で聴力を失うという共通点や、黒人少年ジェイミーが引き合わせてくれた偶然にも惹かれてしまいます。
そんな中では自然史博物館の魅力、クイーンズ博物館では模型好きにはたまらないニューヨークのパノラマ模型が圧巻でした。そして1977年といえばニューヨーク大停電。ふと『キングコング』(1976)を思い出すのですが、その1年後にまたあったんですよね。
それほどのサプライズもない映画なのですが、音楽がどストライクだったので1ポイントアップ。宇宙が好きと言ってたときにかかるデビッド・ボウイの「スペース・オデッセイ」、博物館の秘密基地ではSWEETの「フォックス・オン・ザ・ラン」。おー、狼にピッタリやん!と思ったけど、フォックスはキツネですから・・・。そしてデオダードの「ツァラトゥストラはかく語りき」はやはり『2001年宇宙の旅』をリスペクトしてるんでしょうね♪トッド・ヘインズ監督は同じ年の生まれということもあり、聴いてる音楽一緒やわぁ~と嬉しくなりました。
結局は狼や宇宙よりも“FRIEND”に導かれたという話でした。