「シャーリズ無双」アトミック・ブロンド 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
シャーリズ無双
シャーリズ・セロンが強く美しい凄腕スパイに扮したアクション。
シャーリズ無双と美貌はたっぷり堪能出来る。それに関してはご褒美ってくらい満点。言う事ナシ。
が、話がもっと痛快でスカッとするものだったら…。
冷戦末期の1989年、ある任務を帯びて西ベルリンに降り立ったMI6のロレーン。東西の思惑入り乱れる闘いに巻き込まれていく…。
アクション推しの内容かと思いきや、冷戦、東西ベルリン、MI6、KGB…スパイ映画十八番の要素が並び、思ってた以上の本格スパイ物。
それはそれで見応えあるが、両陣営や人物や思惑が結構複雑に交錯し、ボーッと見てたら置いてきぼり状態に。
後から冷静になって整理してみると実はそう絡み合うほど複雑ではない気もし、話も面白味あったが、テンポも勢いよく進むので、初見はちとひと苦労するかも。
が、シャーリズ史上最も激しいアクションは、こればっかりは噂や期待以上!本当に凄い!
ガン・アクションやベルリンに降り立っていきなりの車内アクションもさることながら、ひと際目を引くのはやはり肉弾戦。
まるでジャッキー・チェンかジェイソン・ボーンばりのホースを用いたアクション。
圧巻は、古びたビル内でのKGBスパイたちとのバトル。狭い室内で、階段で、踊り場で、殴り蹴り、撃ち合い、身体をぶつけ合い…何と7分半にも及ぶ長回しアクション!
もうシャーリズの身体が心配になってしまうほど。
演じ切ったシャーリズ、天晴れや称賛の言葉だけじゃ物足りない。
ジェームズ・マカヴォイを始め、MI6、CIA、KGBら敵か味方か分からない面々はクセ者ばかり。
映像はクールでスタイリッシュ。
80年代MUSICがポップに作品を盛り上げる。
ロレーンとて無敵ではない。
傷付き、血を流し、氷風呂に浸かった際の身体中の痣は過酷な任務の勲章であると共に、痛々しく、生身の人間である事を痛感させる。
コートを身に纏い、ガーター付きのミニスカ&ロングブーツ姿でブロンドの髪を振り乱し…カッコよく、セクシー。
シャーリズの新たなハマり役。
興行的には不発だったが、彼女の無双っぷりと美貌をこれ一本っきりにするのは勿体ない。