「「スタイリッシュ」以外褒めるのが難しい」アトミック・ブロンド 猫シャチさんの映画レビュー(感想・評価)
「スタイリッシュ」以外褒めるのが難しい
驚くほど脚本に面白みが無く、スパイものとしては致命的な気がしました。皆さん仰るように登場人物が多く、その1部はぱっと見では見分けもつき辛く、お話自体も虚実入り混じり、舞台もあっへ行ったりこっちへ来たりで、とてもわかりづらいです。"今何がどうなっているか"が把握できないため、スリルもサスペンスも生まれません。最後まで見て全ての種明かしを聞いても、これと言った伏線もないため「ああ、そうですか・・」という感想しか出てこず。パーシヴァルのキャラをもう少し立たせる事が出来たなら、終盤の展開にもっと感慨が湧いたかも知れません・・惜しいですね。
あと、皆さんが絶賛のアクションですが、個人的には格闘戦の殺陣のセンスがあまり好みではなく、さほど楽しめませんでした。全体に動きが固く、似たような攻撃を連発するばかり(肘打ちとか、近くにあるものを拾って側頭部を殴るとか・・)。銃撃戦で良いんじゃないかと思うところでなぜか打撃戦になるし、"ここは銃を持ち込めない場所だから格闘戦になる"みたいな理由付けはなくて、単に見せたいアクションありきで作られてる感じがしましたね。その割には殺陣のアイディアの引き出しに乏しく、絶賛するほどのレベルでもないと感じました。
シャーリーズ・セロンは確かに綺麗。それだけで2時間持つのもまた事実。そういう意味では一定の満足感はあります。また、全体にブルーを基調としたフィルターのかかった映像もいいですね。水槽の氷や、ベルリンの雪や、羽毛ふとんの羽など、浮遊感を持って舞うシーンが特に印象に残りました。スタイリッシュと言えば、確かにスタイリッシュです。その点は満点でした。