劇場公開日 2017年10月27日

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「面白さを不快感が圧倒的に上回る」ゲット・アウト つとみさんの映画レビュー(感想・評価)

1.0面白さを不快感が圧倒的に上回る

2024年2月8日
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鑑賞方法:DVD/BD

巷で評判の「ゲットアウト」ホラーが苦手な私でも観てみたくなった。
ふたを開けてみればスリラーで、自分が不安になる怖さはなかったので良かった。しかし、あまり良くなかったのだ。

この作品は人種差別とスリラーの二つについて話さなければいけないだろう。

まず、差別や黒人奴隷を想起させるいくつかの仕掛けには、多くないとはいえ気付く事ができた。
どちらかというとモロ出しにみえて、粋ではないと感じた。本作はスリラーであるから、こういったテーマというのはある程度隠されていないといけない。
なんだか、白人の警官がアフリカ系アメリカ人を笑顔で殴打している映像を見せられたような気分で、興がさめたどころか少々不快に感じた。

次にスリラーについて。こちらは序盤の、白人のような振る舞いをするアフリカ系アメリカ人たちの不気味さは面白かった。
しかし、主人公クリスに直接降りかかるような危機が終盤までないせいで、ヤバイよヤバイよ、早く逃げろ!という気持ちにならない。期待したほどのスリリングさがほとんどなかった。
それに、白人らしい振る舞い、アフリカ系アメリカ人らしい振る舞いというのがすでに差別的過ぎてやっぱり不快だった。

となると、スリラーと人種差別をブレンドしたことが醍醐味かなと思うけど、これだって「サバービコン」や、あまり差別を扱っていると認識されていないけど、タランティーノ監督の「ヘイトフルエイト」とか、もっとうまくやった作品もあるし、評価する気になれない。

もし本作の監督が白人だった場合、絶賛されるどころかボロクソに酷評されると思うんだよね。ジョーダン・ピールがアフリカ系だから絶賛されるのって差別ではないか?
作品の中でアフリカ系は有利か不利かという問いかけがあるが、有利とか不利とかその考え事態が差別的なんだけど、監督で脚本のジョーダン・ピールはわかってて有利になる差別を受けたのよ。
もともとコメディアンとしてそういう人だから、それは別に問題ではないんだけど、さすがにちょっとダメじゃないかと思うのはエンディングだ。

少しネタバレ入るのでご注意。

この作品は、白人がアフリカ系をなぶる姿を延々と見せるだけのスリラーだったわけだが、ラストに同郷の友達が助けにきたことで、アフリカ系はアフリカ系同士かたまっていた方がいいというメッセージを残したと思う。私は別に構わないと思うけど、世界の流れ的にはダメでは?
「サバービコン」や「ヘイトフルエイト」はちゃんと融和のメッセージを残して締めている。

ジョーダン・ピールにとってはコメディなんだろうけど、全く笑えない。

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つとみ