「娯楽と風刺を兼ね備えた良作」ゲット・アウト いたかわさんの映画レビュー(感想・評価)
娯楽と風刺を兼ね備えた良作
白人の彼女の実家を訪れることになったアフリカ系アメリカ人のクリス。
不安を感じてはいたが、家族から歓迎される。しかし、黒人の使用人の態度や翌日のパーティでの白人たちの過剰な羨望に不信感が募っていく…
彼女の実家を訪れるまでに起きたシーンでありがちな不当な人種差別をテーマにするんだなあと思っていたら、パーティあたりから、あれなんか違うぞと…この違和感の正体が気になり、どんどん引き込まれていった。
ビクッとなるシーンがあり、登場人物の正体に身震いし、スリラーとしても、主人公の友達がいたことで、コメディ作品としても楽しめた。
今作の違和感が、迫害する白人とされる黒人というステレオタイプの作品ではなくて、差別なんてしないよと言っている白人たちの無意識の差別を描いているからなのかなと思った。
そんな白人社会の中で窮屈さを感じつつも、諦めて生きている主人公のような黒人がいることを見せつけられた。
現代社会を風刺しつつ、娯楽作品としても楽しめる稀有な作品だった。
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