「笑いと恐怖は紙一重なのだ」ゲット・アウト ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
笑いと恐怖は紙一重なのだ
お馴染み「ブラムハウス」レーベルから、低予算ながら観る者の深層心理を針でつくような怪作が届いた。手がけたジョーダン・ピールといえば米の人気コメディアン。そんな彼がまさかホラーで監督デビューを果たすなんて誰が想像しただろう。しかし笑いと恐怖には共通のテンポとリズムがあり、その着眼点にも相通じるものがあることを本作を通じて思い知らされた。
会話の中で生じる違和感と居心地の悪さ。これらが徐々に折り重なって、生存本能的に「この場から逃げ出したい」と思わずにいられなくなる心理。そしてやがて明らかとなる、すべての予想を覆すとんでもない顛末。最初の鑑賞ではストーリーに衝撃を受け、二度目の鑑賞では随所に伏線が仕込まれ、登場人物の思いやり溢れるセリフも、実は全く別の意図が働いていたことに大いに驚かされるはず。
歴史を見据え、社会批評の目も持ち、なおかつ娯楽作でもある。ピールの今後の快進撃に期待したい。
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