「愛する犬たち(Isle of Dogs)」犬ヶ島 odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
愛する犬たち(Isle of Dogs)
メガ埼市という架空の日本の地方都市が舞台、猫派で犬嫌いの市長が犬の伝染病を機に市内の犬を島流し、絶滅政策を行うのだが、市長の遠縁の甥っ子が愛犬救済の冒険に出て他の犬たちと力を合わせ市長の陰謀を暴き、犬を救済する物語。子供向けなので犬の物語だが内容はヒットラーのユダヤ人撲滅にも似た独裁政治の狂気性をうたっているのでしょう。そのせいか、第68回 ベルリン国際映画祭(2018年)で銀熊賞を受賞しています。主人公を助ける少女がアメリカ人留学生というのも、今の日米関係をオマージュしているのでしょう。
犬が流される島がゴミの島、東京の夢の島をモジったのでしょうか、BGMに「七人の侍」のテーマ曲が流れたのには驚きましたがウェス・アンダーソン監督の日本びいき、黒澤ファンというのが伝わります、北斎の浮世絵も出てきましたし、最後に悪市長が改心するのが甥の俳句「何故に人類の友春に散る花」というのも、説得力は無いものの日本文化への敬意なのでしょうかね。人形を使った3Dアニメは撮影は大変だが魅力的なようでナイキ創業者のフィル・ナイトの息子トラビス・ナイトのアニメスタジオ、ライカをはじめ異彩を放っていますね、本作はロンドンの3 ミルズ スタジオで制作されたそうですがモペット人形をアップで撮るには相当寄らなければならず撮影はキャノンのEOS-1D X を80台も使ったそうで、いろんなところでメイドインジャパンが絡んでいたのですね。ちなみにモペットの犬の毛はアルパカだそうです。まあ、よくできた作品でしたが子供向けなのでおじさんにはちょっと退屈でした。