劇場公開日 2018年11月1日

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「文学への興味を駆り立ててくれる作品」ビブリア古書堂の事件手帖 ホワイトベアさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5文学への興味を駆り立ててくれる作品

2018年11月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

鎌倉の古本屋・ビブリア古書堂の若き店主・栞子(黒木華)が主人公。亡くなった祖母が残した古い書籍を持ち込んだ大輔(野村周平)も加わって、栞子が祖父から受け継いだ太宰治の「晩年」初版本を、「大庭葉蔵」を名乗る人物から死守する攻防劇をミステリータッチで描く。原作未読。予告編ではサスペンス物のように見えましたが、然程謎解きに拘った作品では無く、寧ろ観る者を(明治以降の)現代日本文学の世界に誘ってくれる「現代文学入門」映画のように感じました。原作者の文学に対する深い造詣と愛情が随所に感じられるのですが、特に、道ならぬ恋は小説のテーマに良く選ばれますが、夏目漱石や太宰治が多くの名作を残していることを改めて知り、興味を掻き立てられました。ところで作中の出演者の中で、大輔の祖母の若かりし頃を演じた夏帆さんがとても愛らしく可憐で良かったと思います。この作品の本当の主役は彼女ではないかと感じたほどでした。その点、黒木華さんも清楚な感じがとても良かったのですが、ちょっと黒子に徹し過ぎた感があり、損をしていたように思えました。

ホワイトベア