「画は綺麗です。」火花 あぴゃ丸さんの映画レビュー(感想・評価)
画は綺麗です。
綺麗な画がいっぱいあっていいです。お祭りの提灯や花火の光みたいな、儚いけどあったかい感じの景色がたくさん撮られていて、その全てに統一感があり詩的で見惚れました。街を照らす朝日は、現実を残酷に照らしているようにも、夢を包み込む優しい光にも見えてとても美しかったです。菅田将暉と木村文乃のすれ違う画も、運命が変わる可能性の一瞬をスローで切り取っていたりと、なにせ詩的でした。
この映画で好きなところは、芸人が現実と向き合う時でも芸人だったシーンです。
喧嘩している時や悲しい話をしている時ですら、笑いの破片をどうしても探して見つけてしまう、この芸人にある救いようのない愛しさをドキュメントのように見せつけられた気がしました。なので、彼らがどれだけ笑っていても、笑いをもって現実に幼い悪あがきをしているその姿は、痛々しいほどに芸人でした。でも、そこで普通に笑っている観客がいたので集中が途切れて個人的に嫌でした笑
後、神谷のカリスマ性はよく分からなかったのですが、変な方向に落ちぶれていってしまう危うい魅力は理解できました。桐谷健太の衣装も全部オシャレでしたし笑
でも、あの最期の漫才はちょっと異議あります。そこまで芸人として何が面白いか真剣に考えてやってきたなら、最期の最後で感動に逃げるなよと僕は言いたい。あの徳永の叫びが本物だとは思います。けど、芸人を誇るなら最後まで人を笑わせろよと。涙浮かべてでも笑いを取りにいって最期を飾って欲しかった。それが芸人の美しさの極限だと思うのです。あんな感動に酔うみたいなリアルは芸人じゃなくてただの人です。そこで感動に逃げるからお前ら売れんかったんちゃうんかい、くらいまで僕は腹が立ちました。その弱さも含めて芸人の悲哀なのかもしれませんが、折角なら最後まで強がる、笑いをもって現実に反抗する芸人を見たかったです。素人が偉そうにすみません。
まあ多分小説だったら勝手にイメージできるんだと思いますが、映像だとそれが全てなので言いたくなることは別れるのだと思います。芸人の認識だって人それぞれですよね