インビジブル・ゲスト 悪魔の証明のレビュー・感想・評価
全43件中、1~20件目を表示
よく出来てる
素晴らしいプロット
練り込まれたプロットに驚愕した。
この作品の面白さは多岐にわたるが、弁護の依頼人ドリアが「本当のこと」を言う状況に追い込まれていくことが見どころだ。
人は誰も嘘をつく。
「嘘は必ずつく理由がある」
そしてずっと謎だったこのタイトルが意味することが最後にわかってくる。
「見えないの客」
直訳するとこうなるが、まさにそれ。
「悪魔」とは主人公ドリアだろう。
このタイトルにも大どんでん返しが隠されていた。
「10分の休憩」まで、悪魔とは真実を捻じ曲げてまで勝訴に持ち込む計画を立てるグッドマン女史だと思っていた。
彼女は弁護士ではなく法廷戦略の専門家という設定
彼女こそが悪魔だと、思わされた。
さて、
ドリアの証言
彼の証言を聞く限り、ハプニングによる事故とローラ主導で事故を隠し、おまけに隠ぺい工作をした。
この事件がきっかけで彼らは何者かに脅迫され、ホテルで殴打され気を失った。
気が付けばローラは死んでいて、部屋は密室状態 ドリアが犯人だと疑われた。
このホテル密室殺人事件の秘密も面白さのひとつ。
そして、
過去に起こした事件
ドリアの証言である不倫と事故の状況
これを尋ねたグッドマン
最初からそこに狙いがあった。
ドリアの証言通りであれば、もし第三者によってローラが殺された場合、必ずその理由が存在する。
しかし、もっともその原因に成り得るダニエルの両親は、まったくの無実
ダニエルの居場所を含め、どうしても真実が知りたい夫婦
彼らの作戦
そもそも夫婦はドリアという男を一切信用していない。
そしてあの日の出来事を鑑みて、あの二人が犯人だというのを直感で確信した。
でも証拠がない。
ただ、ないことはない証拠は、ドリアが金の力でもみ消していった。
ドリアを見張ることしかできなくなる二人
そして主人公であり視点は常にドリアにあることが、この物語を最高に面白くさせている。
グッドマンは、ドリアが真相を語ることを望んだはずだ。
ところが彼の証言と客観的に感じる不誠実さに矛盾を感じる。
グッドマンはローラという女についてもよく知っている。
ローラの人物像についても、同じようにドリアの証言に違和感がある。
グッドマンはそれを予想していて、そのために「車の男」が証人として出廷することを伝え、ドリアに真実を話すように強要した。
でもドリアの話に違和感が拭えない。
そうしてとうとう、
ドリアはダニエルが生きていたことを話した。
この時のグッドマンの顔は強烈な怒りに包まれた。
母の怒り
それでもなおグッドマンが演じ続けたのは、ドリアのすべてのすべてを剝いでやる強い意志があったからかもしれない。
ダニエルに続いてローラの人間性を考えた。
ドリアの証言はすべて逆で、事故後にすぐ電話しようとしたのはローラの方で、財布を盗んだのもドリア、そしてダニエルが金を盗み出したように交錯したのもドリアだった。
コンタクトレンズに仕込んだカメラ
万年筆に仕込んだ盗聴器
やがて、ローラを殺したのもドリアだったことを知る。
冒頭 ドリアのホテルの部屋にグッドマンが登場する。
予定よりずいぶん早い到着に面食らうようなドリア
ここに張った伏線が最後の結末を導く。
凄すぎる。
何故グッドマンがストップウォッチで時間を計測していたのか?
これもまた伏線だった。
事件が起き、警察が調査する。
この経緯で事実だけが概ね明らかになっていくが、真相には届かないことが多いように思う。
ところがダニエルの両親は悪魔を逃がさなかった。
警察では絶対語られないことをすべて暴いて見せた。
最後まで両親は決して笑わない。
このシリアスさ。
金と権力に頼り切っていた悪魔の最後。
二人は見事に人間の心に巣くう悪魔の正体を証明したのだ。
素晴らしい作品だった。
光が弱いから闇も弱い
証拠隠滅の証明
❇️『地味なミッショインポッシブル感!』 ★彡アクション無し
密室の反対証明
衝撃の連続
まさに悪魔の証明
とても秀逸なミステリ作品
【鑑賞のきっかけ】
以前に鑑賞した「ロスト・ボディ」が秀逸なミステリであったため、同じ監督作品ということに興味を惹かれて鑑賞してみました。
【率直な感想】
結論的には、「ロスト・ボディ」と同様に秀逸なミステリと評価できます。
予告編を観ると、「密室殺人事件」ということが強調されていて、古典的なミステリ作品かと思ってしまいます。
しかし、確かに、「密室トリック」についての説明はあるものの、物語の主軸は、そこにあるのではないです。
不倫相手のローラという女性が殺害され、容疑者となった主人公の実業家・ドリアのもとに、グッドマンと名乗る女性弁護士が訪ねてきて、新しい証人が現れたため、法廷に呼ばれる時が迫っている、法廷戦術を早急に練る必要があると迫ってくる。
物語の大半は、この室内でのドリアとグッドマンとのやり取りで進行します。
グッドマンは、ドリアに隠し事をされていると困るからと尋問を始める中、浮かび上がってきたのが、3か月前に、ローラとの密会中に起こしてしまった交通事故。
対向車を運転していた青年が死亡してしまい、この事件の隠蔽工作を行ったことを、ドリアは告白する。
この交通事故と殺人事件との繋がりを巡り、ドリアとグッドマンの心理戦が展開されるのですが、緊張感が途切れることなく、物語に長さを感じさせることはありませんでした。
特に終盤近くは、グッドマンによる様々な推理が行われ、二転三転していくのですが、ミステリの面白さを思う存分味わえます。
そして、待ち受けている、意外なラスト。
【全体評価】
古典的な密室での殺人事件に、過去の交通事故を絡ませることで、容易に真相が見えなくなる中、ドリアとグッドマンとの緊迫感のある心理戦で、最後まで観客を飽きさせることなく、展開していき、ラストにはあっと驚く意外なオチ。
秀逸なミステリ作品として、高く評価したいと思います。
スペイン映画、時々スゴい説(笑)
2016年公開、スペイン映画。
【監督・脚本】:オリオル・パウロ
主な配役
【被疑者・ドリア】:マリオ・カサス
【敏腕弁護士・グッドマン】:アナ・ワヘネル
【被害者の父・トマス・ガリード】:ホセ・コロナド
【ドリアの愛人・ローラ】:バルバラ・レニー
1.スペイン映画、時々スゴい説(笑)
未レビューだが、以前『パンズ・ラビリンス(2006年)』を観て不思議な感動を受けた記憶が蘇る。
本作もあまり期待せず見始めたが、
どんどん惹き込まれてしまい、最後にノックダウンされた。
スペイン映画ということで、俳優陣にもなじみがなく、
変な先入観がないのもプラスに作用したかもしれない。
2.よく練られた脚本
◆タネ明かしの順序
◆塗り重ねられた虚構
◆最後の背負投げ
◆ロケ地の設定
◆キャラ設定とキャスト
すべてに「隙」や「無駄」がなく、
緻密に練り上げられている。
脱帽だ。
3.まとめ
間違いなく秀作。
惜しむらくは、ラストの処理。
もっとドラマチックにすることもできたろうに。
それだけが惜しい。
ラス前までの印象は鮮烈。
☆4.5
顔のない来訪者
全43件中、1~20件目を表示