「つまらない!と切り捨てるか、染みると感じるか」きみの鳥はうたえる SHさんの映画レビュー(感想・評価)
つまらない!と切り捨てるか、染みると感じるか
つまらないと切り捨てるべきか、じんわりと染みると言うべきか…正直迷う。特に前半は劇的展開もなく現代社会の一部分を淡々と切り取ったような平坦な物語なので、興味を持てなければ100%つまらんだろうし、こちらから積極的に何かを読み取ろうとしなければ恐らく寝ちゃうような作品かも。
個人的には「オーバー・フェンス」を見ていて、なんだか漠然とした繫がりや雰囲気も似ていたので、かなり集中してみることができたけれど、表情を追ったショットなどどう捉えて良いのか分からず不安を感じたところが結構あったので、いまいち作品に入り込めずに見続けていたような気がする。おそらく、よく分からないけど何となくこうかなぁーという印象を与えることがこの作品の意図のような気がしたけれど、あまりにも漠然とした展開が長すぎるように感じた。
後半は、漠然としていた前半の思いを解決してくれる内容で、すごく引きつけられた。
後半や終わり方だけでいうと、相当いい映画だと思う。俳優陣のパフォーマンスも素晴らしかったし、静を貫き通した映像にも非常に好感を持てる。それほど多くはない音楽もすごく効果的だったと思う。ただ、前半の長さを思い浮かべると、トータル的にこの作品をどう評価したらよいのか悩ましい。良き作品には時に忍耐を要するとは思うけれど、なんか違うような…いい作品だったとは思いますけど─。
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