「心温まる夫婦愛ファンタジー」DESTINY 鎌倉ものがたり みかずきさんの映画レビュー(感想・評価)
心温まる夫婦愛ファンタジー
本作は、ALWAYS三丁目の夕日でお馴染みの山崎貴監督が、お得意のVFXを駆使し、邦画では珍しいファンタジーに挑戦した意欲作である。
本作の舞台は古都・鎌倉。多趣味なミステリー作家の一色正和(堺雅人)は、年の離れた亜紀子(高畑充希)と結婚し、鎌倉で生活を始める。鎌倉は人間と幽霊や魔物が共存する不思議な街だった。そのことを知らない亜紀子は様々な魔訶不思議な体験に唖然としながらも、鎌倉という街に次第に馴染み正和との関係を深めていくが・・・。
奇抜な設定だが、堺雅人と高畑充希の新婚夫婦が醸し出す雰囲気が効いている。リアルさを残しながらも、どこかフワッとした不思議な佇まいが、観客を自然にファンタジーの世界に導いてくれる。脇を固める芸達者の登場人物達の熟練の演技が作品に安定感を与えている。貧乏神(田中泯)、死に神(安藤サクラ)という日本人には認知度の高い神を登場させることで、ファンタジーに親近感を持たせている。田中泯は、憎めない人間味溢れる貧乏神を熱演している。安藤サクラは、従来のイメージを払拭した極めて現代的でドライな死に神を好演している。
また、本作は、色々な作品を思い出すシーンが多い。和服姿で髪を掻きむしる堺雅人は金田一耕助、魔物たちはスターウォーズを彷彿とさせる。
VFXを駆使したファンタジーではあるが、本作のテーマは、夫婦愛、夫婦の絆であり、堺雅人、高畑充希の息の合った演技で、心温まる作品に仕上がっている。
意欲作ではあるが、ファンタジーに徹し切れていないところがある。ストーリー展開が緩慢なところもある。山崎監督の挑戦も道半ばであり、今後も積極的にファンタジーに挑戦してもらって、ファンタジーを邦画の得意ジャンルにして欲しい。
> ファンタジーを邦画の得意ジャンルにしてほしい
そのご意見には、全く同感です。
ただ、両作とも脚色し過ぎて、西岸良平先生の原作漫画とは、違う作品かなあ。ま、だからどちらも横文字がタイトルについて、別の作品だよ、って言ってるんでしょうけどね。