「ここは鎌倉だぜ?ミニオンだって普通に暮らしてるんだ」DESTINY 鎌倉ものがたり kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
ここは鎌倉だぜ?ミニオンだって普通に暮らしてるんだ
小さな一つ目の妖怪・独眼坊がミニオンに見えてしょうがなかった。目が悪くなったのなら西岸眼科に行かなければ。と、細かなところに気を取られて、マカイマツタケがシイタケのようにも見えてしまいました。ついでに告白すると、音楽が『ハウルの動く城』に聞こえ、黄泉の国が『千と千尋の神隠し』にも見えてしまいました。
鎌倉に暮らすミステリー作家の一色正和(堺雅人)のもとに嫁いだ年若い妻・亜紀子(高畑充希)はその生活に驚くばかり。魔物や幽霊、妖怪や仏様、死神(安藤サクラ)までもが現れ、人と人ならざるものたちが仲良く暮らしているのだった。本業の小説執筆に加え、鎌倉署の心霊捜査にも協力する正和。鉄道模型収集の趣味があったことにも驚く亜紀子だったが、彼が事件解決をしたことに夫への信頼感は高まるばかり。
「三丁目の夕日」の西岸良平のもう一つの代表作「鎌倉ものがたり」のエピソードを散りばめて1つのストーリーに仕上げた監督・脚本の山崎貴。原作は未見のままでしたが、三丁目シリーズと同じく見事に仕上げてあるように感じます。ただ、亜紀子の霊体が身体から離れて黄泉の国へ行ってしまうという大事件が起きるのはストーリーの後半。それまでのエピソードの中には余計だと感じるものがあるかもしれませんが、伏線としてほぼ収束しています。
『三丁目の夕日』では大いに笑って泣いて楽しませていただきましたが、『永遠のゼロ』、『海賊とよばれた男』と違った路線に入ってしまい、山崎監督は笑わせ方を忘れてしまったのではないかと危惧しています。堤真一が演ずるキャラに全く笑えなかったし、笑いのほとんどが高畑充希の驚きのギョロ目に助けられていたかのようでした。個人的には河童頭の大倉孝二が何かやらかしてくれると思ってたのに、キツネの血が混じってる要潤にかっさらわれてしまいました。
久しぶりに試写会当選(というか応募したのも8年ぶり)して先取りしましたが、ファンタジー作品としてお子様からお年寄りまで十分に楽しめる作品となっていますので、年末・お正月と家族で観に行かれるのが良いかと思います。親子の不思議な縁、1000年の時空を超えた愛と絆、身近な人との縁を再認識させてくれる作品です。
【2017年11月映画館試写会にて】