劇場公開日 2017年12月9日

  • 予告編を見る

「心地良い余韻に浸れる、壮大なラブファンタジーでした」DESTINY 鎌倉ものがたり スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5心地良い余韻に浸れる、壮大なラブファンタジーでした

2017年12月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

幸せ

山崎貴監督作品は基本好きで、特に「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズはド嵌りしたものですが、本作は正直予告編を見た段階ではいまいちそそられず・・・とは言え、映像は凄そうなのでやはり劇場で見ておく必要があるだろうと思い直しとりあえず見てみたら、これが思いのほか良かった、何気に結構好きな世界観でした。
勿論きっと原作が素晴らしいのは間違いないところなのでしょうが、これだけ独特な世界観をシンプルにまとめ上げた製作陣の手腕もお見事だったと思いましたよ。
妖怪や幽霊や神様が人間と一緒に暮らす世界(何故か鎌倉のみ限定)、ごちゃごちゃしていて入り込み難そうだなと変な先入観があったのですが、強引ながら意外とスンナリ入り込めて、いつの間にかドップリこの世界観に浸っている自分がそこにいました、笑っちゃうぐらい相当強引でしたけどね。

まあテーマが本当にシンプルでしたので、それが良かったのかな、話を詰め込み過ぎて失敗する例は多々ありますが、本作は話をかなり詰め込んでいるのに、そう感じずに見れるシンプル感が特筆物だったと思いました。
基本夫婦の壮大なラブストーリーでしたからね、確かに秀逸なVFX映像や多彩なキャラに目はいきますが、軸はブレずに話が推移するので、間延びすることなく楽しめて、且つ夫婦それぞれの想い、愛の深さにウットリさせられると言うか、ほのぼのさせられると言うか・・・まあとにかく見終わっての心地良い余韻がたまらない作品でしたよ。
前半からそこかしこに散りばめられた様々な伏線が最終的に見事に回収される展開もスッキリ爽快、後味最高でしたね。

話的には前半の鎌倉ほのぼの生活と後半の黄泉の国パートに分かれる二部構成的な作品だったでしょうか。
テイストが異なるのでそこで賛否ありそうですが、やはり軸となる部分がしっかりしているので、私はどちらも大いに楽しめました、特に亜紀子が本当にいい奥さんだったので、正和が命を懸けても構わないと思わされるに十分説得力があったと思いましたね。
堺雅人はシリアスな演技もコミカルな演技も申し分なし、亜紀子への愛の深さに思わず涙腺が緩みました。
それ以上と言えたのが高畑充希のほんわか奥さんぶりだったでしょうか、最高すぎて今まで以上に好きになりました、超絶美人タイプではないけど見る者を虜にする素晴らしい女優さんだなぁ、亜紀子の心優しい行動が全て返ってくる話の構成も素晴らしかったですね。

山崎組常連さん達も相変わらずの好演でした、そんな中でも堤真一の本田さんのエピソード、何気にグッと来たなぁ。
安藤サクラの死神と田中泯の貧乏神もキャラとしてのインパクトは大、この2人を配したからこその愛すべきキャラクターだったかな、悪役の天頭鬼も、冷静に考えると切ないね・・・エンドロールまで見終わってみると、ちょっと最初に抱いたイメージとは違ってある意味好きになってしまうような、そんな悪役だったかと。
あとキンさんね、謎の年齢も含めてナイス助演でした、江ノ電や小道具の使い方も素晴らしかった、宇多田ヒカルの主題歌も素晴らしかった、どの層が見ても楽しめる超万人向け映画だったので、小難しいのが苦手な私にはホント最適でした、見終わって優しい気持ちになれる映画でしたね。

スペランカー