劇場公開日 2017年12月9日

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「「見なくても」損しない単純娯楽作」DESTINY 鎌倉ものがたり 猫シャチさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0「見なくても」損しない単純娯楽作

2017年12月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

よく、「これを見ないなんて人生損してる」みたいな褒め言葉がありますが、本作にこれを当て嵌めるなら、「見なくても全然損しない」単純な娯楽のための映画、という感じでしょうか。

お話自体はよくまとまっていて破綻がないです。広げた風呂敷の畳み方や伏線の回収の仕方もソツがない。CGもまずまずで、映像的な見応えもある。ただ裏を返せば、"良くまとまっているだけ"の映画とも言えます。

個人的には、メインの一色夫妻に魅力を感じられなかったのが痛い。堺さん演じる正和は「いかにも堺雅人が演りそうな役」という以外に深みも味わいも無く、高畑充希さん演じる嫁の亜紀子はイノセント感を出し過ぎで、月曜ドラマランドのアイドルじゃないんだから・・と軽く呆れてしまいました。基盤となる2人の夫婦生活がおままごとのような現実感の無さのため、事件によって失われる事、それを奪還する事にカタルシスが感じられないんですね。大人が観る映画として作るなら、もう少し夫婦の絆や、"得難い日常"を描いて欲しかった(設定で実はこうでした!みたいなのとは別に)。

キャラクターの弱さに目をつぶるにしても、全体のストーリーテリングも弱く、全てが予定調和的で、悪くは無いけれど、毒にも薬にもならない感が強いです。お正月にお酒を飲みつつ、何も考えずに観る映画という事で、今観るべきでは無かったのかも知れませんね。

猫シャチ