「視聴者へのミスリードが鮮やか」彼女がその名を知らない鳥たち ABCDさんの映画レビュー(感想・評価)
視聴者へのミスリードが鮮やか
クリックして本文を読む
物語が進んでいくなかで、視聴者は陣治に対して「自分の好きな人のために殺人までするような手段を選ばない人」くらいの印象をうける。それは電車で若い男を突き飛ばすシーンからも想像に容易い。しかし、これこそが視聴者を騙すための演出で、だからこそ見終わった後に陣治に対する見方が変わって唖然とする。彼の飛び降り自殺という衝撃的な展開も自分的には違和感はなかった。
陣治がどのような人なのか、最後の最後まで分からないような演出が素晴らしかった。
彼は、十和子がこの殺人という重荷を背負って生きていくことになることを気の毒に思い、十和子が罪をわすれたことに対して笑顔を見せるほど優しい男であり、十和子のことを本当に愛している男であった。
見ている間、十和子と陣治の出会いを描かないのかずっと気になっていたが、1番ベストなタイミングで入れられていた。
前半の伏線が徐々に回収されている様も鮮やか。
コメントする