「愛しすぎた側が地獄」彼女がその名を知らない鳥たち くりさんの映画レビュー(感想・評価)
愛しすぎた側が地獄
純粋な人が大切なものを
守ると決めた時、
その他のことはもうどうでも
よくなる。
その理由さえも。
自分が大切と思っているように
相手も思ってくれていると感じる時、
もし、
その理由が自分を必要としている
言動だけなら
それはたぶん便利だから。
相手の都合にこたえれば、こたえるほど
相手の気持ちは残酷に冷えていく。
そして
要求はエスカレートしていく。
男女に限らず、同性でもこれは同じ。
学校でも職場でもよくみる風景。
本当に尊重しているなら、
どんなことを
してでも巻き込まないようにする。
はず…
結局、
相手にリスペクトできない人の仕業を
立場の弱い側の自己犠牲が吸収することで世の中が回ってるように思います。
立場が弱くなるのは、腕力だったり
経済的なものだったり、
人間関係だったりそれぞれだけど、
本作の場合は、
相手よりも愛しすぎたから
ではないかな。
自分に振り向いて欲しくて、
そばにいて欲しくて、
一緒に笑って欲しくて。
その自己犠牲の気持ちのキャパの
大きさで、行動が変わる。
溢れたら終わる。
十和子は相手に殺意をむけ、
溢れない程大きなキャパがある
陣治は、どこまでも…
そういう気持ちをお互いが
溢れないように、
思いあうようなシーンには
心が揺すぶられます。
そうじゃないと、しらけます。
あぁまたこれか。
どこかでみたな、なんて感じで。
けど、
あまりにも大きい包容を見たときは
衝撃をうけます。
本作の陣治や、ちょっと前に上映
していた 湯を沸かすほど~の
宮沢りえさんの役ですね。
陣治への救いは、エンドロール前の
十和子の最後のセリフかな。
どうせいつか死ぬなら、
普通に暮らすより、激しく
不器用でも愛し、愛される人生も
ありなんじゃないかと思える
恋愛映画でした。
なかなか ないけども。
くり様
あなたはコレを愛と呼べるか…と
問いかけてくる映画ですね。
十和子という女性が嫌でした。
愚かだと思います。
本当に自分を大切に思ってくれるヒトが誰なのか、
気づくのが遅すぎて。
映画→原作→映画を観たら
十和子の気持ちが分かって切なくなりました。
原作の実写化で感動するって難しいですが、
本作は大成功かもしれません。
観てから読んでも
読んでから観ても大満足。
十和子の最後のセリフで救われますね。
あんなに十和子を大切に守ろうとした陣治が
美しく崇高に思えて泣けました。