ゴールド 金塊の行方のレビュー・感想・評価
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“山師”とはこういう人か、とある意味納得
言葉としては知っていても、山師なんて職業の人、実際に会ったことはない。でもこの映画を観ると、山師の考え方や言動の傾向が強烈に伝わってきて、なるほどこういうタイプの人が金鉱探しをしてきたからこそ、投機的な行動に走る人を指す広義の「山師」という語義が派生したんだなあと、妙に学んだような気になる。
マコノヒー演じる主人公のジェットコースター人生は、アップダウンの各ポイントに関しては驚きつつ興味を引かれるのだが、全体にあちこちで中だるみして、やや冗長だったか。編集のテンポに、もうちょっときびきびした感じが欲しかった。
あと、実話に基づくといいつつ創作も交えているので、ラストのオチを事実とみるか、ドラマ的効果を狙ったフィクションと受け取るかで評価が分かれそう。個人的にスッキリしないラストではあったが、マコノヒーの山師役がぴったりキャスティングだったのは間違いない。
実話がベースだが、調べた限りではほぼオリジナルのキャラによるオリジ...
実話がベースだが、調べた限りではほぼオリジナルのキャラによるオリジナルのストーリーだ。事件の大枠だけをもらって「アメリカンドリームは時代遅れか?」というテーマを追求していると感じた。
監督はスティーヴン・ギャガン。バックパッカーから脚本家になり、国際政治を皮肉った『シリアナ』を監督した才人だが、最近はあまりパッとしていなかった。本作はアメリカでヒットしなかったけれど、マコノヒー演じるハゲでバカで嫌いになれない山師を生み出してくれたことに喝采の気持ちしかない。
マコノヒーもノリノリで、「一番好きな役」と発言してることも納得。マコノヒーにはプライベートも含めて野生馬のようなイメージがあるが、まさにマコノヒーならではの荒馬感がダメカッコいい。現実の事件で大損した人は笑えないかも知れないが、これはフィクションならではの痛快作。なにが痛快かって、始まって五分で主人公が禿げるのがもう最高である。
夢と現実の攻防が行き着く先にあるのは。。。
金塊を掘り当てて一攫千金を夢見る。かつて、アメリカンドリームと並行して語られてきたゴールドラッシュの興奮を、マシュー・マコノヒー演じる探鉱者、ケニー・ウェルスを主軸に描く物語は、ホラ話の楽しさに投資家たちの思惑が絡んで、ドリームと言うよりリアルな白日夢のよう。同時に、金ビジネスが金そのものではなく、サンプルから埋蔵量を予測して巨額の金が動く、文字通りの"投資ビジネス"であることに驚く。つまり、予測が外れることもあるわけで、それがウェルスの運命を激しく左右する2転3転4転ぶりが映画の見どころでもある。ウェルスと夢を共有する地質学者VSマネーゲーマーたちの先が読めない攻防が行き着く先は、映画だけに許された夢の世界。その痛快さに免じて、捻りが多すぎる件は許せる気がするのだ。
ロマンチストは大地に眠る金の夢を見るか?
実話系の作品は権利の関係なのか、小うるさく口を挟んでくる人がいるのか、なんだか小さくまとまってしまう作品も多い。
しかしながら、今作品は思いきりの良い脚色とテーマ設定で巧みに物語を展開した良作と言えるだろう。
「今ここにはない金に投資する」ということと「自分以外の誰かに心を許す」ということは、似てないようで似ている。
それは「目に見えないものを信じる」という一見愚かな行為であり、誰もが日常的に行っている行為でもある。
今作品の主人公・ケニーはそのどちらも信じている人物であり、だからこそ主人公に相応しいとも言える。地中に眠る金の存在を信じて人生の一切合切を賭けてしまう男。出会ったばかりの地質学者に命まで預けてしまえる男。
綱渡りの生活で、浴びるように酒を飲み、それでもケニーと一緒に働いているワショー社の社員を見ていると「ああ、ケニーを信じているんだな」と思う。
オフィスさえ無くなっているような状態で、一体何を頼りに働くのか?ケニーが信じるに値する男だからじゃないのか。
どうしてそう思うのかと問われれば、それはケニーが自分達を信じてくれているから、と答えるのではないか。
マイクがケニーと一緒に過ごした時間は、ケニーの人柄を理解するには充分だった。ケニーはいつも通り情熱の全てを鉱山に傾け、生死の境を彷徨いながらもマイクを信じ続けた。
ワショーの社員たちがケニーを見捨てなかったように、マイクもまたケニーを失望させるわけにはいかなかったのだと、そう思う。
ケニーの期待に応えられる方法。ケニーとマイクがどん底から「カネしか信じていない奴ら」を見返す方法。それは悪魔の囁きか天の啓示か?
ラストシーン、マイクから送られてきたエアメールの封筒を見ただけで、私は画面のケニーと同じくマイクの存在を再び感じられる喜びと少しの寂しさを味わった。
表舞台に出て来てくれなかったマイクは一体何を書いて寄越したのだろう?と。
古びたナプキンに自分の筆跡。「見返してやろうぜ。儲けは50:50」そして小切手。
マイクからの手紙は自分との約束を果すものであると同時に、マイクとケニーの契約は終わったのだという証でもある。
「マイク・アコスタはもういない。嘘つき地質学者をお前が背負いこむことはない」
マイクはそう言いたかったのではないだろうか。突き放すようなマイクの優しさは、ケニーが信じた友情を感じさせてくれる。
さて、次はどんなロマンを探しに行こう?
タイトルなし
金の採掘は嘘だったという詐欺事件の実話を元にしたフィクション。やや間延びする感はあったが、ハゲ、デブっぷりの醜い感を出すマシュー・マコノヒー、抑えた演技のエドガー・ラミレスが良かった。お金目的でなく、父から引き継いだ会社で金を掘り当てる夢に執着する男を見事にマシュー・マコノヒーが描いている。ラスト、死んでしまったエドガー・ラミレスから届く小切手は作り話?だろうか。
窮余の一策
金塊の行方?ゴールドフィンガーじゃあるまいに配給会社の宣伝部まで映画にならって客を欺くのだから始末が悪い。実際の事件に触発されているが、調べてみると登場人物の設定も含めてほとんど創作ミステリー、予備知識なしで観てのお楽しみがよいでしょう。
浮き沈みが激しくて読み切れない、終わって観ればマシュー・マコノヒーがダメ男風の役作りに入れ込んだわけがわかりましたが、途中ではこんな飲んだくれ山師の話に付き合わされるのかと辛いものがありました。挫折を味わった者同士で無ければ分からない因縁、もともと悪気は無く、自分を信じてくれた病床の男へ一時の夢を見させようとした末の窮余の一策だったのでしょう、ウォール街の禿鷹へのしっぺ返しは痛快でした、いわば戦友物語のようなお話でしたね。
実話に基づいた傑作娯楽映画
実話に基づいた傑作娯楽映画で、日本のバブル期の証券市場を彷彿とさせる。主演、そして結果的に詐欺師になることになるAcosta役の2人の演技が素晴らしい。
伝えたかったことはなにか
映画にした以上、俳優が体重を増やしてまで挑んだ以上、物語に「心をつかんだ何か」があったはず。
祖父が0から起こし、父から自分へ、代々続いた会社が無くなりそうな危機に瀕し、どうにかして続けなければという責任に押しつぶされそうなケニーが、ある日夢を見た。
その夢を信じたケニーは、妄信した(といっても過言ではない)ケニーは、夢に出てきた、昔会ったことのあるマイケルに金鉱を掘り当てるよう依頼する。
オチでは、実は、金は掘り当てられておらず、マラリアでケニーが生死の境をさまよう中でマイケルは、金がないと結論づけていた。それでも、自分(マイケル)を信じてくれたケニーに報いたいと、ゴールドの含有量をごまかし、「ゴールドを掘り当てたことにした」。
「馬鹿にしたやつら見返してやろうぜ」
みたいな言葉を、ケニーからかけられたマイケルは、憶えていた。ゴールドはない。金もない。ではどうするか。『敵をだますにはまず味方から』で、マイケルはケニーの性格を熟知し、そのままゴールドはあると信じ込ませ、いけるとこまでいかせようと画策。…なんやかんやあって、結局、マイケルの詐欺であったことが判明し、FBIが会社も捜査され、すべてを失うケニー。傷心の中、元恋人の家へ転がり込み…マイケルからの8200万ドルの小切手を受け取る。
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夢を妄信した男を、誰もが信じた。妄信とは「100%自分を信じている」ということ。人は誰しも、そういう人間の言葉は、信じてしまう。人は「絶対=100%」にあこがれる。
結局、ゴ-ルドは無かった。夢だった。
はじまりは、会社が窮地に追い込まれ、転落人生を目の前にしたケニーが、ふと見た夢。それに、藁をもすがる思いで、ある程度の知識しか無く「掘る」という宝探しに没頭した男の末路は、詐欺で得た金だった。だまし切って痛快な感じのオチになってるが、そのお金は、誰かの働いたお金の集まりだ。
「眠ってみる夢」に根拠はない。
『藁をもすがる思い』だったのは、自分の説を否定され路頭に迷っていたマイケルも同じだったのかもしれない。似た境遇の二人、類は友を呼ぶ、必然の出会いだった。力及ばずの二人、その末路は、いわずもがな。
「見返す」という意味では成功だが、それ以外では尊敬できる部分はない。自分の見解や知識を見直すことなく、代々継がれた会社を慣行的に家族経営色濃く継いでいくだけでは、生き残れなかった。一つ一つ努力して生きるか、一足飛びで高みに上るか。後者を選んだ二人は、どうなったか。
【「マネー・ショート 華麗なる大逆転」に匹敵する、金融投資ムービーの秀作。マシュー・マコノヒーの怪演及び”マシュー・アプローチ“(体型の激変振り・・)も、忘れ難い作品。】
ー マシュー・マコノヒーが、1990年代に株式市場に大混乱をもたらした、通称「Bre-X事件」を自身の製作、主演で映画化した犯罪サスペンスー
・この作品を更に面白く観るために、事前に金の生産工程から投資までの流れを簡単におさらいしておくと良いと思います。
何故なら、スティーヴン・ギャガン監督はアダム・マッケイ監督ほど観客に優しくないからです。
(専門用語が沢山・・。脳内フル回転で鑑賞したなあ。)
・それにしても、これが現実にあった事件をベースにしているとは俄かには信じがたい程、面白い作品でした。
<何より、1980年代半ばに金鉱を探し求める男が主役である点と(普通、ゴールドラッシュといえば、19世紀が舞台ですよね)、物語のどこまでがこの男の虚構(法螺話)で、どこからが真実なのかが意図的に隠されているところが、この作品に深みを持たせていると思った作品。>
<2017年6月10日 劇場にて鑑賞>
アップダウンが激しすぎ
アップダウンが激しすぎる。上げて、落として、また上げて、ほいで落として、ぐんと上げて。。株価からむだけにグランビルの法則かと。
金鉱掘り当てる前半楽しくて好きなんですけど、そっからは先記のとおり。性急すぎてこっちは消化不良かな。
このテイストだと近いところで「マネーショート」という良作がありますが、そこには及ばず。あっちは専門的でわかりづらさもあったが、そのぶんスリリングさを緻密に演出できていた。スケール、キャスティングはタメ張れると思うんですけど、わかりやすいぶん軽い印象。
この実話を知らないが、なんとなく野暮ったくも情熱のある探鉱者が金融エリート、マネー強者を相手に大立ち回り、そして翻弄された、という感じでしょうか。
ラスト小切手、もちろんフィクションですよね?
演技はいい
●2018年56本目(DVD鑑賞49本目)
マシューマコノヒーが役作りのために増量して挑んだ作品。演技はすごいと思う。
ただ、ハゲてるマコノヒーは違和感あるし、減量役→増量役はクリスチャンベールを見てるよう。賞とりを意識してるのかな
ギャンブル要素たっぷりの人生に痺れる
ギャンブルと狂言の仕事と夢を追いかけるのがライフワークになってる主人公、根っからのギャンブラーw
アップダウンの連続の人生だったし、相棒マイクの最後の裏切りに口が開きっぱなしになったけど、ラストシーンで震えた。
夢と努力と友情…少年ジャンプのような作品だった。
マシュー・マコノヒーさんは本当はハゲ? それとも役作りの為? まぁ...
マシュー・マコノヒーさんは本当はハゲ?
それとも役作りの為?
まぁー何はともあれ、作品は最後にどんでん返しがある内容。
それなりに楽しめる作品です。
成功者の意味
マシュー・マコノヒーはすばらしくいい俳優だ。
個人的に「ダラス・バイヤーズクラブ」がいちばん好きな映画。
彼は観客を引きつけるなにかキャラクターをもっている。映画俳優ならもっとも希望する才能であり、必須な才能でもある。
ざっくばらんに言うと、映画人の映画に対する偏執的な隔たった性格でもある。才能はそうしたものだ。
ピアニストのグールドもおなじだった。
緊張感のある冒険の物語とジャングルの映像がこれに加わる。
映画人の才能と基本的な素養は整った。
ほとんどの夢想家は滅び、わずかな砂金のような数の精神に病気をもったもの達が奇跡のように生き残り、すべてを手に入れる。成功とは、そうしたものだ。それがリーダーと言い換えてもいいし、巨大な信念と運を信じた結果とも言うことが可能だ。
冒険したものが、黄金を手に得る。
その彼らの物語に凡庸なひと達が支持する。密に集まるアリのように。
だから、逆の戦略も成り立つ。
つまり、良くある投資詐欺。ふつうの無知な人たちが金を出したワケじゃない。この物語がすごいのは周りがプロフェッショナルなのに、結局彼らは黄金の色に目が見えなくなる。彼らもまたアリなのだ。投資家や企業家のひと達の欲望をまきこんで。
ものすごい高級な美女も、金も、名声のすべてを手に入れる立場にたった。方向がどうあれ、善悪がどうあれ、彼は成功への偏執的な起業家なのだ。
「信じること」
0か全てを手に入れるかをいつも選択している。
示唆的である。
彼は、最後まで成功者であり、起業家でもある。
相棒の行方。
実話ベースだというのでどこまでが本当なんだろうと思いながら
観ていたがこれがとっても面白い。最後まで何がどうなるんだか
見えてこない真相にどんでん返しのオチまでつけてくる。痛快!?
とまではいかないけれどお見事な脚本。金脈から採取して投資…
までのダラダラとした展開が一気に後半で沸き立ったあと、一転
急降下する主人公の運命、まさにジェットコースタームービーと
いう感じ。デブハゲ入れ歯のマコノヒーが加害者なのか、被害者
なのか。実事件の真相も未だに藪の中だというから、結末も妄想
なんだろうけれど巧い。こんな運命絶対背負いたくないと思うか、
いやいや男たるもの!夢に賭けようじゃありませんか!と思うか。
どうでもいいけど個人的なお気に入りは肥えた風貌で活き活きと
していたD・ハワード。南部女の魂でマコノヒーをサポートする。
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