劇場公開日 2018年7月13日

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「SF」ジュラシック・ワールド 炎の王国 R41さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0SF

2025年5月25日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

この作品はSFのジャンルになるだろうか。
近未来世界を恐竜というモチーフを使って描いている。
冒頭の博士の言葉と最後の締めくくりの「人類の方が絶滅するかもしれない」というセリフにSFとしての大きな意味がある。
もしも何かを発明・発見した時に変化する世界を描くことがSFだ。
それそのものはフィクションだが、それによって引き起こされる世界に矛盾を作らないことが求められる。
あのイーロンマスク氏が愛して止まないSF
Xに使用されているAIの名前が「グロック」だが、その由来はSF作家 ロバート・A・ハインライン の1961年の小説『異星の客(Stranger in a Strange Land)』に登場する火星語に由来している。
世界を動かす人物は、このSFという思考を使って物事の先を予測しているようだ。
さて、
遥か古代に滅んだ恐竜
それを琥珀に閉じ込められた蚊の吸った血液からDNAを取り出すという考え。
第1作の物語だった。
大型恐竜が闊歩している風景
コナンドイルの「失われた未来」を現実に持ってくるという考え。
あの圧倒的なシーンは正直恐ろしさを覚えた。
圧倒的なCGなどのリアル過ぎる映像技術
画面を通して見ても迫力満点だった。
そうしてジュラシックパークからジュラシックワールドに変化した世界がこの作品。
前作はやはり事故というものが起きたことで死傷者が発生し、ジュラシックワールドは野生化した恐竜たちの住みかとなり施設は廃墟となったようだ。
その後の世界
そこに仕込んだ火山活動と絶滅という設定
まるで白亜紀末期のミニチュア版の世界観だ。
そしてそこに仕掛けていたのが人間のクローンという設定
クローンである者がクローンの気持ちを理解するというのは、AIと機械などにも通じる話であり、そう考えれば意味深な設定だ。
そして命からがら島から脱出した一行だったが、助け出せなかった恐竜たちは溶岩によって死滅する。
このシーンもまた相当意味深だった。
表面上にある単純な悲しい気持ちと、人間によって作られた恐竜たちを人間が見捨てるということ、同時にそれは捨て犬とか捨て猫を想像させるし、所詮人間の手には負えないことを示唆しているようでもあった。
何よりもそのようになってしまった世界においても、人間ファーストは貫かれている。
そこに忍ばせた金儲け
この構図は昔から未来に至るまで何一つ変わらない。
しかしこれこそがSFだ。
恐竜はDNAの抽出と解析によって再生された。
彼らの世界が生まれた。
そこに起きた火山活動と絶滅の危機
神という概念と人間の選択
過去の事故から政府は一切介入しないことが決まったこと。
そうして起きた人間世界に恐竜を開放してしまったこと。
これを幼い少女の判断としたことには大きな是非が残ったように感じた。
しかしこの作品はエンタメとしても申し分ないほどよく作りこまれていた。
最初からハラハラドキドキで始まり、それが延々と続く。
そこに隠されたメイジーの秘密
ロックウッド家の新しい指導者ミルズの野望
恐竜を単なる獣としか見ない私立アーミー
この坩堝の中で主人公たちは考えて行動していくが、そこにあったのが動物愛なのだろう。
そこに視聴者である子どもたちや若者たちが何かを感じるのだろう。
恐竜は鳥の祖先とされているが、そうであれば爬虫類よりも心を通わせることができるかもしれないと思ってしまう。
あくまでSFということでこの作品を見る必要があると感じた。
この世界観はすでに今の私たちの世界観とは違ってしまっている。
これは、人間によって作り出された恐竜に対する責任は、すでに作った人物だけに責任があるわけではなくなってしまった世界の話だ。
その中で何が優先されていくのかをシミュレーションしたのがこの物語だろう。
そもそも論はすでに終わってしまっている。
これが難しさとSFの面白さだろう。
本当に、アメリカ人はよくこんなことを考えると感心させられてしまう。
単純な面白さと迫力、ドキドキ感など多彩な構図で楽しむことができる作品だった。

R41
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