「全編に渡るスピルバーグ愛」ジュラシック・ワールド 炎の王国 ヘルスポーンさんの映画レビュー(感想・評価)
全編に渡るスピルバーグ愛
この作品では物語前半と後半では全く違う映画になっています。前半は崩壊寸前の島から恐竜を救うという展開でジュラシックパークやロストワールドの要素テンコ盛り。オーウェンがスピルバーグ作のインディー・ジョーンズと重なるシーンが多く見られる。
後半はゴシックホラー調といいますか、クラシカルな洋館での密室劇。J・A・バヨナ監督の「永遠のこどもたち」を彷彿とさせる。メイシーちゃんが着ている衣装は、同じくスピルバーグ作「E・T」の主人公のイメージでしょう。
屋敷の夜に巻き起こるインドラプトルの殺戮シーンは完全にホラー映画の演出。また、落下して串刺しになり象徴的な最期を迎えるのは、悪魔や悪霊の倒し方にみえるし、神に選ばれたのはブルーであるとしっかり見せてくれたのがよかった。その理由はもちろん描かれている。ブルーがまだ小さい時に撮ったオーウェンとの映像記録のシーンで、オーウェンが困った、悲しい演技をするとブルーは慰めてくれる。優しい心を持っている。だから最後ブルーは助かるのだ。と。
本作は後半で遺伝子操作で生み出された生き物側の視点というのを、ジュラシックパーク史上初めて取り入れる。
クローン人間であるメイシーという視点を使って。
メイシーが何故物語の中心になるのか、何故メイシーが彼らの運命を決めるのか、完璧なアンサーを導き出してくれたと思う。そんな手があるとは思ってもみなかった。確かにクレア(人間側)じゃなくてメイシー(クローン側)がそうしないとだめだよね!と唸りました。
「神は恐竜を創り、破壊した。神は人間を創り、人間は神を破壊した。そして人間は恐竜を創った」
「人間がどれだけ頑張っても生命を押さえつけることは決して出来ない。生命はいずれ危険を犯してでも、自らが生きる道を探し出すのさ。」
一作目からマルコム博士がつぶやいていたセリフがついに現実となる。それみたことか!とドヤ顔になったマルコム博士は「ジュラシックワールドへようこそ」と(一作目でのハモンドの「ジュラシックパークへようこそ」というセリフに絡めて)物語を締めくくります。
ジュラシックワールドとはあの島のことではなく、我々が住んでいるこの世界のことだったのか!と、また唸りました。
今回のクローンに象徴される科学と道徳のあり方。今までの作品ではセリフで少し挟まれる程度だったのが、本作ではそこに大きく踏み込んだ。SF作品として大きく舵を切ったと思う。
ブラキオサウルスとの別れのシーンでは思わず涙が出てしまいました。
あの島と、恐竜との出会いはブラキオサウルスで始まった。
そして、あの島との別れはやはり、ブラキオサウルスしかいない。
スティーブン・スピルバーグはジョージ・ルーカスと共に「リトルフット」というブロントザウルスの子供が主人公のアニメーションを共同製作しているのですが、あの別れのシーンではリトルフットを彷彿とさせる音楽、シルエットになり消えていく演出(リトルフットと母親との別れ)を感じた。
スピルバーグは首長竜に対して特別な思い入れがあるに違いない(あくまでも私の想像ですが)、その思いを汲み取り、演出したJ・A・バヨナ監督もさすがだと思う。
案の定、スピルバーグは本作を絶賛していますしね(笑)
次作頼むぞ!監督はコリン・トレボロウのカムバック!
公開は2021年予定!まだ先だ〜
首を流〜くして待っております。🦕
私もブラキオサウルスのシーンで、第1作目での出逢いのシーンを思い出し、本気泣きしてしまいましたクチなので、そのシーンに言及していただいて嬉しかったです。
次回作楽しみですね🦕