「バリー・シールとトムくんが被って見える、純度100%のトムくんムービー」バリー・シール アメリカをはめた男 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
バリー・シールとトムくんが被って見える、純度100%のトムくんムービー
航空会社のパイロットからCIAエージェント、銃や麻薬の運び屋に。
仰天ニュースやアンビリバボーもびっくり、破天荒男バリー・シールの実話。
パイロットとして家族の為に真面目に働いていたら、その操縦の腕がCIAの目に止まり、偵察撮影の仕事を請け負う。
そしたらコロンビアの麻薬組織にも操縦の腕が気に入れられて、運び屋に。
ガッポガッポガッポガッポガッポガッポ、金を荒稼ぎ。
こちとらおそらく生涯金で苦労していくだろうに、一体何処からこんなに金が溢れ出す?
銀行にも家の中にも倉庫にも、果ては森の中に埋めるほど金の置き場所に困るくらい。
チッキショー、羨ましい…いやいや、これは全て“汚れた金”。世の中の不条理。
嗚呼、でもやっぱり、羨ましい…。
金は勿論だけど、きっとバリーはこの危険で刺激的な仕事が楽しくて堪らなかったのだろう。
何だかそれが、常に危険なスタントに挑み、我々をハラハラ楽しませてくれるトムくん自身と被った。
本作でも操縦は全て自分でとか。
あの嬉々としたスマイルは演技じゃないね。
とは言え、やってる事は違法。栄華を極めれば、転落も。
常に危険と隣り合わせ、あちこちの当局からマーク。
遂には逮捕されるが、まさかの展開、ある力が動き釈放、運び屋を続けられる事に。
が、それも束の間、最大の修羅場と、そして…。
我が物顔で世界の空を飛び、法を掻い潜り、金を荒稼ぎし、時には運も味方し…。
誰も真似できないような大アドベンチャーな人生を駆けた男。
が、アメリカを手玉に取ったように見えて、実はアメリカに手玉に取られた、本当はある男の悲劇的な話なのかもしれない。
トムくんの映画にしては比較的地味で、派手な見せ場にも乏しい。
見る前はさほど期待してなかったが、段々面白くなってきた。
見終わってみれば、トムくんの魅力に溢れた、純度100%のトムくんムービーであった。