「ほろ苦い隠し味」僕のワンダフル・ライフ うそつきかもめさんの映画レビュー(感想・評価)
ほろ苦い隠し味
男の子と犬の関係性が良く描けていたなと思いました。
映画を通して続けられる「ひとりごと」
これは、作劇上仕方のないことで、生まれ変わっても同じ犬なんだとわからせるための「方便」だと思えばいいんでしょうけど、かなり強引で、納得は出来ないやり方です。だって、途中でメスの警察犬にもなってるんだから。『アナ雪』のオラフ役の人が担当しているらしく、どんなつらい出来事も割と楽天的にとらえたトーンで、それ自体はすごく楽しい映画になるよう貢献しているんですけど、犬が転生した後に思索だけがつながるなんて。おそらく前例のない表現ではないでしょうか。
タイトルは「A DOG’s PURPOSE」直訳すると犬の目的みたいなことか。これは、犬が転生を繰り返して、同じ飼い主の少年に再会することと、人類が犬を飼い続けて今日のパートナーシップを築き上げていったことのダブルミーニングだろう。
その、犬目線ではあるものの、なかなかの厳しい人生が次々に現れては消えていく。全体には、ほのぼのコメディタッチで描いてあるが、一つずつを取り上げると苦い描写ばかり出てくる。
父親はアルコール依存症で家を出ていく
フットボールで挫折して彼女に八つ当たりして破局
内臓疾患で安楽死処置される犬
警察犬は、活躍ののちに殉職(この犬は映画の中で3回転生する)
愛してくれる飼い主ばかりとは限らない
それらを、全編通して楽観的に、最終的にイーサン少年に再会するまでの道のりを映画にしたのがこの「語り」という手法で、奇跡すらもコミックブックみたいな扱いになる。
ちょっとずるいよね。
でも、まあ、泣ける映画ではあるな。最近本当に涙腺が緩くなった。リビングで家族と一緒に見るのは恥ずかしいかも。
私自身、今まで犬を5度、猫を2度飼っていますが、それぞれ個性があり、「似ている」と思ったことは一度もないのですが、次に巡り合うことがあれば、「この犬は、もしかしてあの犬の生まれ変わりかもしれない」なんて発想に思い当たるかもしれません。
素敵な映画でした。
