ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツのレビュー・感想・評価
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Fortune favors the... greed.
しがない口八丁のセールスマンが、仕事も女性も、欲しいものを得るためなら手段を選ばない、正に「帝王」に成り上がるまでのストーリー。
マクドナルド兄弟は、お人好しでおおらかな兄Macと生真面目で神経質な弟Dick。とてもバランスの取れた組み合わせの兄弟に見えました。
Rayが少しばかりの人情を持ち合わせていて、Dickがもうちょっと融通の利く世渡り上手だったら、兄弟も名前を奪われなくて済んだのかしら…。家族経営に拘っていた兄弟が、自らの名字を店名に出来ないという痛い皮肉(T_T)。
Rayが成功の秘訣と信じるモットー "persistence and determination"。マクドナルド兄弟の店を構えるまでの七転び八起きの道のりだって、そう遠く外れてないと思います。二組の違いはやっぱりエゲツなさ?!確かな見る目、柔軟性、度胸、蹴落とし騙す冷酷さ、巧みな話術、底知れない欲望。Rayは自分が欲しいものをよく理解している人でした。
店は世界中に展開してすごいけど、一番の恩恵を受けているのは、異国の食事に馴染めなくて困っているアメリカ人だったりして。
異物混入など、品質管理についてのマクドナルド兄弟の懸念は的中してますね…。
日本語では通称マック。お兄ちゃんの名で通っていることをご本人が知っていたら嬉しいな。
振り回されて捨てられるRayの奥さんが気の毒でした(T_T)。
理念というものはことほど左様に歪んだり失われたりするんだな。
マイケル・キートンという役者が有している「シリアスになればなるほど可笑しみが漂う」という資質が存分に活かされていると感じた。
“ファミリー”を強調し、ビジネスに関しては一貫してマクドナルド兄弟の考えを尊重していた。この辺りまでは共感もできるし好感も抱く。クロックは多くの失敗を乗り越えて必死になって成功を掴もうとしているのだ。しかし結局は金によって変わっていく。当初の理念は失われ自らの家庭を清算しフランチャイズオーナーの妻を奪う。
今となってはマクドナルドのイメージなど地に落ちているわけで、それが誰によってなされたのかがハッキリした。しかし当初のマクドナルドは片田舎で頑固な兄弟によって運営される誠実な企業であったことも事実で、そのことが余計にこの成り行きの意味を考えさせる。
それでも何だかこの作品でのクロックを憎めなくしているのがキートンならではなんだよね。
レイは、マクドナルドのセールスマンだ!
レイの根気と、情熱には感服した。マクドナルド兄弟の画期的な工夫にも。
初めてマクドナルドのハンバーガーを食べたのを、今も覚えている。しっとりして、とても美味しかった。
ピクルスも、初めて食べた。
シェークも、カンタンに吸えないぐらい濃くて、冷たくて、衝撃的だった。
マクドナルドのチェーン化にとって、
必要不可欠なものとは、
品質、サービス、クリーンの高水準での標準化だった。
初期に、クラブで出資者に会ってオーナーになってもらうものの、勝手なメニューとか、掃除もしないゴミだらけの店舗が出来てしまい、失望している。
フランチャイズ化にあたり、
オーナーの人選が、鍵となっている。
ルールを徹底させる事は、掃除ひとつとっても、
かなり難しいのだ!
それが出来る人だけ、オーナーにしないと、失敗してしまう。
そのために、講演などで、ハンバーガーの素晴らしさ、夢をかたり、お金も含め、共感して、成功をつかめる人をオーナー家族として迎え入れる。大学もつくる。
夫婦で、頑張って店をやってるのを、うらやましそうに話している場面がある。
それが原点だろう。夜中に、店の掃除に行っちゃうくらいだから。
だが、それには野心と才能がありすぎたのかな?
マクドナルド兄弟との対立は、悲しいが、
尊敬もしていたと思う。白紙小切手を手に、お見舞いに行くではないか。
なぜ、マクドナルドという店名を兄弟に残せなかったのかな?
もう、そう出来ないほど、大きなビジネスになってしまったのか?
今の、パサパサのハンバーガーを見て、レイや、マクドナルド兄弟は、藤田田は、なんと言うのか?
絶対こんな、マズイに近い味じゃなかった。
20世紀のアメリカ的な価値観が生まれた背景に驚く
食カルチャー視点、あるいはビジネス視点でも観ることができ、知識欲を刺激する、かなり興味深い作品になっている。
「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」(2015)でアカデミー賞にノミネートされたマイケル・キートンが主演。キートンが演じるのは、世界的な外食チェーン、"マクドナルド"の創業者レイ・クロック。
実は"マクドナルド"は、マックとディックのマクドナルド兄弟がはじめた、カリフォルニア州のハンバーガーショップだったが、その新しいサービスとコンセプトに魅せられたレイ・クロックが、全米へのフランチャイズ化を兄弟に提案し、自ら展開する。しかしやがてマクドナルド兄弟と全面対決をして、乗っ取ってしまう話だ。
ビジネスマンの視点で観ると、本作は、本来の創業者であるマクドナルド兄弟を出し抜いてトップに登りつめる、印象の悪いサクセスストーリーである。
けれども、例えばレイ・クロックの著書「成功はゴミ箱の中に」は、ソフトバンクグループの孫正義社長の愛読書である。また映画の中でも出てくるレイ・クロックが日常的に聞いていたレコード「積極的考え方の力(Power of Positive Thinking)」は、ノーマン・ヴィンセント・ピールが録音したもの。ノーマンの著書は、今で言うところの自己啓発本の元祖で、トランプ米国大統領が傾倒する人物だったりもする。ビジネスで勝ち続ける男の横顔が見えてくる。
マクドナルド兄弟から、"マクドナルド"という看板を買収することに執念を燃やしたレイ・クロックが、店名はファミリー客にウケる"マクドナルド"という発音でなければならないと語る。これがまた面白い。
それはアメリカ人なら誰でも知っている、「Old MacDonald Had a Farm」(マクドナルドおじさんの農場)という唄に基づいている。"♪ E-I-E-I-O(イーアイ、イーアイ、オー)"で有名な、日本では「楽しい牧場」というタイトルでマクドナルドおじさんではなく"♪ 一郎さんの牧場で~"で知られている。
"一郎さん=マクドナルド"というくらい普遍的な名前である。この親しみある魔法の言葉"マクドナルド"がチェーン店をナンバーワンに押し上げた。
映画の冒頭で、レイ・クロックが初めてのマクドナルドの商品に戸惑うシーンも印象的だ。
"皿"も"フォーク"も"ナイフ"もない。紙で包まれたハンバーガーを手で食べるというスタイルは、当時のアメリカ人にも斬新すぎた。マクドナルド兄弟が発明したメニューは、自動車メーカーのフォードが発明した大量生産のフォード方式を、レストランに発展活用させた"ファストフード"の誕生だったのだ。
共通パーツ(材料)で単一化された商品を大量生産して、一様に全国に拡大していくという20世紀のアメリカ的な価値観、"ファストフード"や"チェーン店"は、日本においてもあらゆる飲食店を淘汰してしまった。日本全国どの駅に降りても、スターバックスをはじめとする同名チェーン店が軒を連ねる。それは"マクドナルド"からはじまった功罪なのである。
21世紀に入って、必ずしもマクドナルド方式が支持されているわけではなくなった。とはいえ、全世界で年15億食を提供するメジャー外食チェーンである。
この実話、いままで映画化されていなかったのが不思議なくらい。20世紀のアメリカ的な価値観を代表する出来事なのだ。
(2017/7/30 /角川シネマ有楽町/ビスタ/字幕:松浦美奈)
成り上がりストーリー
しがない営業マンの根気と執念と裏切りの成り上がりストーリー。
主人公は決して善人ではない。
己の事業欲のために、家族や創業者までをも捨てていく。
やはり田舎もんのお人好しではこれ程の規模拡大は出来なかっただろう。
彼に憧れ、自らも行動に移すのなら相当腹を括らなければならない。
裏側
見応えあった。
おそらく知らない人はいないのではないかと思うくらいの「マクドナルド」が出来上がるまでの話だ。
表面はどうであれ、競争社会の本質を描いているようにも思う。
法律上、問題なければ誠実。
人道的には許容できずとも、だ。
だが、それも、その人の立ち位置によるのだろうと思う。
あの人物がいた事で、僕らは手軽にハンバーガーを口にする事が出来る。
その恩恵を享受しているからには、断罪とか否定とかを出来るはずもない。
彼自身を恨んでる人もおそらくいるだろう。
ご自身の言葉で「えげつない事をやってきた」との言葉が残ってる。
映画はその言葉に偽りがなく作られてる。
人々を笑顔にする裏側で行われてきた熾烈な生存競争。
自身の境遇や葛藤も、余す所なくといった感じだろうか…。
どちらかに偏るのではなくとてもバランスの取れた作品だった。
なんつうか、犠牲とリスク無しで得られるものなど何もないと言われてるようだった。
後は、人との出会いだったり関わり方で、人生は大きく転がる事もある、と。
“根気”さえあればいいとの事だが…これを金言と捉えるかどうかは危ういとこだろうなぁ。
主役のリアクションというのだろうか?
考える、聞いている、そんな芝居が人物を幾重にも分厚く仕上げてたようにも見えた。
あまりにもエゲツないこれがアメリカンドリームか?
1954年、シェイクミキサーのセールスマン、レイ・クロックに8台もの注文が飛び込む。注文先はマックとディックのマクドナルド兄弟が経営するカリフォルニア州南部にあるバーガーショップ「マクドナルド」だった。合理的なサービス、コスト削減、高品質という、店のコンセプトに勝機を見出したクロックは兄弟を説得し、「マクドナルド」のフランチャイズ化を展開する。しかし、利益を追求するクロックと兄弟の関係は次第に悪化し、クロックと兄弟は全面対決へと発展してしまう。
結局すべてを奪ったのはレイであった。
最初の契約は破棄されマクドナルド兄弟はすべてを失ってしまう。
レイは不動産を所有してフランチャイズ展開を成功させ、苦労した時代を支えてくれた妻とは離婚するもマクドナルドの株は一切手放そうとはせず、利益を拡大してゆく。
最後は実話物のお約束で登場人物のその後が伝えられる。
知的な興奮に満ちた傑作(パンフ購入推奨)
四半世紀ほど前にマクドナルドで働いていたことがあるので興味津々で見に行ったが、上映終了後に劇場のスタッフに思わず「すっげぇ面白かったです」と話したほど、知的な興奮に満ちた傑作であった。
レイ・クロックの自伝と、マクドナルド兄弟の子孫への取材をもとに作られたという、この映画の描き方は極めてフラットなものだ。大方の視聴者や映画評論家は、事業を乗っ取った悪者としてレイを見ているようだが、自分にはそうは思えなかった。レイのハンバーガー事業に対する情熱はマクドナルド兄弟と何ら変わらないかそれ以上のものに見えた。だからこそ、レイの目にはマクドナルド兄弟が自分の大発明の価値を理解せぬ愚か者に映ったのである。シェイクの品質を落としたのも、マクドナルド兄弟がロイヤリティで妥協してくれないためにやむを得ず行った苦渋の決断であった。事実、事業のキャッシュが回るようになってからは早々にアイスクリームに戻したというのは、映画の最後に説明があった通りである。
もちろんマクドナルド兄弟の言い分も正しいと思うが、彼らのやり方ではマクドナルドはカリフォルニアの小さなハンバーガーショップで終わっていたことだろう。レイから受け取った小切手以上の収益を彼らが生み出すことができたかどうか、甚だ疑わしい。
マクドナルドの収益源はハンバーガーではなく不動産である、ということも聞いていたが、具体的な内容は知らなかったので、その内容が明かされた瞬間には驚愕を禁じ得なかった。これを「加盟店から搾取している」などと言う者は、資本主義を理解せぬ者であろう。本部は新たなキャッシュポイントを得る。加盟店は自分でローンを組むリスクと高金利を負わずに済む。誰も損をしていないのである。
とはいえ、乗っ取りは乗っ取りである。客商売であるマクドナルドにとっては探られたくない暗部であることには違いないであろう。映画の最後に、レイがマクドナルド兄弟のノウハウを真似して独自の事業を立ち上げるのではなく、マクドナルド兄弟の事業を乗っ取る道を選んだ理由が明かされるが、これはアメリカ社会の事情に根ざしたものであり、日本人が解説なしで理解することは難しい。是非ともパンフレットを購入して読んでみて頂きたい。
1950年代のアメリカの空気感を忠実に再現しているように見えた映像、素早いカット割りと展開で見る者を飽きさせない演出も素晴らしかった。字幕以上の情報を汲み取ろうと乏しい英語力をフル稼働させたのでとても疲れた(笑)
マクドナルドに遠慮してのことなのかは知らないが上映館がとても少なく、映画館でもう一度見たいと思っても恐らく難しいだろうというのが残念な点である。
マクドナルドを愛した男
マクドナルド兄弟は前半の機能美を追及するシーンから、ただ安定した質の食べ物を早くだすことにこだわった。そのために偶然に生まれた「美」だった。
クロックは違った。彼は兄弟が考案した生産システムと共にマクドナルドそのものを愛した。多分、そこにかつて自分がみたビジネスとしての「美」があったからだろう。「マクドナルドは語感が良い」からの台詞でそれは分かる。だから兄弟から全てを奪った。「美」を手に入れたかったのだ。マクドナルドに熱心でない妻よりも熱心な妻を選んだのと同じだ。
これは乗っ取りというよりもNTRだ。どうしても「美」を手に入れたかった男の話だ。自分はそう感じた。
タイトルは痛烈な皮肉なのだろう。
実話に基づいている映画らしいが、レイ·クロックの出生から描かず、マクドナルド(兄弟)との出会いから描いている点は話がわかりやすくて良かった。
レイ·クロックという人物は結局自分では何一つ創造してなかったなぁ〜…って言うのが観終わった感想です。
元のマクドナルド(レシピや調理の手順等)もマクドナルド兄弟のアイデアだし、フランチャイズ展開も元からあったやり方。粉末のシェイクのアイデアも自分では探してない。人からのアドバイス。
マクドナルドを飛躍的に成功させたと言われる不動産をFC希望者にリースするというやり方も他人のアイデア。
レイ·クロックはそれらをひたすら頂いただけ。
レイ·クロックにあるのは「野心」のみ。
観ている方からすれば、実直なまでのマクドナルド兄弟に肩入れしちゃう。その対比が面白かった。
そんな何一つクリエイティブな事をしていなかった男が名刺に「創業者(ファウンダー)」って刷ってるなんて、哀れと言うかなんと言うか(苦笑)。絶対この映画のタイトルは皮肉だと思うわ(´・ω・`)
野心の塊で腐れ外道な描かれ方をしているレイ·クロックだが、家族(ファミリー)と言う単語に並々ならぬ情熱で語ったりしているので、あれだけの野心を抱くキッカケは生い立ちに何か関係があるのかな?と思わず思ってしまったが、今作ではそこまで触れず。
あの軽薄な笑顔一つで観客を不快にさせるんだから、マイケル·キートンって名優だわ。
最後に出てきた実際のレイ·クロックの笑顔の方が嘘くさい笑顔で笑ったが(笑)
せっかくのマクドナルド創業者の話なのに、日本マクドナルドがこの映画に対して何のタイアップもせず、公開規模も小さいのは映画を観終わって何となく察した。そらそーなるわなw
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