「生まれ持ったモノの価値には気づきにくい」ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ ローチさんの映画レビュー(感想・評価)
生まれ持ったモノの価値には気づきにくい
人生の皮肉と、ビジネスの教訓が高度にブレンドされた優れた作品。
マクドナルドの「創業者」を描いた作品だが、この作品で描かれる創業者は二組。マクドナルド兄弟と、マイケル・キートン演じるレイ・クロックだ。
ファスト・フードという概念を確立した効率よくハンバーガーを作る仕組みを考案したマクドナルド兄弟と、フランチャイズ化を推し進め、世界的な成功を収める礎を築いたレイとの対立が中心に描かれている。
なぜマクドナルドが大成功を収めたのか、冒頭に兄弟が説明するシステムに関心させ、最後に全く違う、兄弟自身も見落としていた「価値」を提示する。他人の事業を掠め取ったように見えるレイの行動だが、「価値」を発見するというのはこういうことでもある。
レイが最も価値を感じていたのは、皮肉にも兄弟が生まれ持ったものだったというのは、この映画最大の人生に対する皮肉だ。生まれ持ったからこそ、兄弟はその価値に気づけなかったのだ。
ああ、人生って本当にこうだよな、としみじみ思わせてくれる作品だ。
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