「葉っぱ一枚無くていい」ありがとう、トニ・エルドマン たろっぺさんの映画レビュー(感想・評価)
葉っぱ一枚無くていい
高度に発達した過干渉は、魔法と見分けがつかない。
勇気ある長回しが、効果的に気まずさを増幅させるが、同時にそれは短所でもある。
役者の演技は素晴らしく、非現実的な家庭環境を生々しく魅せた。
ストレス過多の息苦しい社会にユーモアを取り戻したい気持ちも、内へ内へと向く視線を解放したい気持ちも良く分かるが、幾らそれを免罪符にしようとも、この独善的な親子を愉快には思えない。
EU圏内での社会的格差問題にメスを入れた作品でもあるのに、我が身可愛さに同僚を振り回し、後はさよならと切り捨てる事に納得いかない。
これでは視点が反対方向に移るに過ぎず、依然として視野は狭いままである。
義務を軽んじているうちに社会秩序は終わってしまう。
世の中を 憂しとやさしと思へども
飛び立ちかねつ 鳥にしあらねば
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