「迷ったとき、心の指針となる映画」ありがとう、トニ・エルドマン shironさんの映画レビュー(感想・評価)
迷ったとき、心の指針となる映画
笑った笑った〜!
笑って泣けました。父の愛情が不器用すぎて。
心理描写が見事なので、大袈裟なコメディ芝居ではないのに、父と娘の気持ちのすれ違いが手に取るようにわかって笑えます。
突然職場にやってきた父親に「もう!何やってんのよ!!今、仕事で大事な時期なんだから帰ってよ!」と追い返さないのは、
年を取った父親の愛情をむげに出来ない娘の優しさと、
あまりにも父親と疎遠になりすぎてしまって“ここまでは言っても大丈夫”な家族の距離感すら掴めなくなってしまっているから…な気がしました。
お互いの遠慮が、ますます事態をこじらせ悲劇(喜劇)を生み出していくのですがww
トニ・エルドマンに振り回されるうちに娘は、おそらく自分でも気付いていなかった自分自身のストレスに気づきます。
娘役の女優さんのコメディエンヌっぷりが素晴らしい!
歌のシーンは笑いながら泣けました。
なかでも服を脱ぎたいシーンは見事すぎて、あれは何度見ても笑える神レベルの芸!!
でも面白いだけではなくて、笑いながら辛い。( ;∀;)
心が忙しいです。
そして、観た後は、自分の人生で何が一番大切なのかを考えさせられました。
世の中は不平等な事で一杯だから、少しでも良い生活を得ようと、日々成果をあげることに追われてしまうけど、
唯一全ての人に平等に与えられている死。。。
それに向かってながれていく時間は二度と巻き戻すことが出来ない。
自分はその時間をどう使うのか?何を優先させるべきなのか?
そう考えると、すごくシンプルに答えが導き出される。
何かにつまづいたり、選択に悩んだらトニ・エルドマンを思い出そう!
そんな心の指針となる映画でした。
とはいえ…寅さんみたいなお兄ちゃんと、トニ・エルドマンみたいな父親と、どっちが良い?と聞かれたら、どちらも丁重にお断りさせていただきますが(笑)