標的の島 風(かじ)かたかのレビュー・感想・評価
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「総論賛成・各論反対」
「総論賛成・各論反対」になっている。
『自衛隊は生活を守ってくれるものだから必要♥かもしれないが、自衛隊基地はこの島には必要ない』
大変に残念な言葉に私は感じた。
自由と民主主義の日本国なのだから、きちんとした独立国を目指し、本土(?)の人達も一体となった運動に昇華させなければ駄目である。
自衛隊を、本土の人間は『国際救助隊』位にしか考えていない。
つまり、私が抱く結論は『総論も各論も反対』である。沖縄だけの問題では無く日本国の問題なのだ。
また、抗議活動は沖縄ナショナリズムの『パフォーマンス』であっては駄目である。頑張る所を見せて、同情を買う為の運動であっては駄目だ。
先ずは自由と民主主義を作るために立法と行政を変える事が先決だ。
ではあるが、いずれ他人事ではなくなる同じ日本国民なので、私は自分の為に共感をする。
まぁ、しかし、こう言った運動のベクトルに、左翼系のリベラリストには懸念を持って貰いたい。60年安保闘争と同じ事をやっている。『ジョン・レノン』の『イマジン』は良い歌だと思うが、何一つ世の中を変える事は出来なかった。残念ながら。
演出家が沖縄の方ではなく、私と同郷の様で(中学校が同じかも)、この悲惨な現状を、他人事の様に客観視していると思った。仕方ないのだろうが、画竜点睛をかく視線に思える。
現在進行形の戦争と沖縄の底抜けに明るい生き方
三上智恵監督の「標的の島 風かたか」を、今池シネマテーク上映初日に観てきました。
もう戦争という言葉に慣れてしまった感じの本土ですが、もっともリアルに脅かされてるのは沖縄の人々でしょう。
監督の一作目を観て、二作目を見逃し、これが三作目。
反対運動とか座り込みとかネガティブにとられるけど、これが沖縄の命をつないできた“風(かじ)かたか”なんだと。
圧政は今にはじまったことでなく、唄に変え、三線を奏で、踊って、抵抗しつづけてきた命の証し。
風を受ける防波堤となって、子や孫を守ってきた。
それが今、辺野古、高江、宮古、石垣と、次々と狙い撃ちされ、標的にされていく。
反対運動のリーダー博治さんも、文子おばあもクローズアップされてるけど、みんな一人ひとりが主人公。
悔しくて虚しくて、思わずこちらも号泣。
他人事じゃないからね。
だけど、そのことだけを伝える映画じゃなかった。
それらを記録した重要なシーンをカットしてでも残したかったというエイサー、パーントゥ、アンガマの3つの祭りシーン。
大地に根っこをはって生きる。
島そのものが命で、先祖を尊び、子や孫につなぐ、全体としてのしなやかさ。
ちいさな一人であっても、そうした目に見えない島の風土に突き動かされる力強さのようなものを感じた。
先島の宮古や石垣は非常に危険な方向へ向かってるけど、その祭りからわかるように、沖縄本島とは違う風を吹かせる可能性を秘めている。
そこにスポットを当てた三上監督は、まだまだ沖縄の底力を信じてて、まだまだ映画の力を信じてるんだと思う。
暗い映画と敬遠されがちなドキュメンタリーだけど、他人事ではない現在進行形の戦争と、沖縄の底抜けに明るい生き方を学びたい方はぜひ。
初日1発目の午前の部は満席で立ち見の大盛り上がりとなり、内心ほっとしました。
ぜひ多くの方に伝えたいメッセージがたっぷりの映画。
テレビでは絶対に流さないドキュメンタリーだからこそ、わざわざ映画館まで足を運んでみてください。
事実の力
沖縄での米軍属による女性殺人事件、奄美大島、石垣島での自衛隊基地の受け入れ、辺野古の基地建設、ヤンバルの森でのヘリパッドの建設。戦争が忍び寄ってきている。
沖縄の海が中国と米軍の最前線となり、日本がアメリカの代わりに土地と海、人と基地を提供し戦わされる。なぜ? 恐怖を煽っているとしか思えない。しかし、自衛隊やっときてくれたと安堵している人もいる。
基地あるところが標的になる。
軍隊のいるところが戦場になる。
軍隊は軍隊しか守らない。
沖縄にもどこにも軍隊はいらない。
心の中に平和を築くことが一番大切。
死者の声を聞きながら。
ドキュメント映画の説得力!
自分は東北に住んでいるので、沖縄本島のことは報道で少し知っていたが、周辺の島々のことは、この映画で始めて知った。
唖然として言葉にならなかった。今日本でこんなことが起きている、起きようとしているのか。
ただただ、驚いた。
しかも行動している人の理由は、自分のためではなく、誰かのため。ある人は先の戦争で犠牲になった人のため、ある人はこれから生きていく子供、孫のため。
サッカーの日本代表を応援するフレーズと一緒だけど、重みが全く違う、
「負けられない闘い」なんだと思う。
沖縄では戦争は終わっていない。
この事実に始めて気づかされた。
一方、住民説明会で、自衛隊を待っていると賛成している人もいることにも驚いた。善悪は絶対的なものではないんだと。
自分は沖縄に住んでいないので、自衛隊基地問題の賛否を言うべきではないと思う。
ただ、少し遠いが、同じ日本国内で、今大変なことが起こっていて、闘っている人達がいることは覚えていて、少し、沖縄の報道を気にしてみたい。
知ることから始めたい。
お子さんのいる方にこそぜひ観てほしい
もったいないことにあまり話題にならないこの映画、長野でも上映会に700人以上も集まったほど水面下で注目されています。
友人も2回観たそうですが、わたしももう一度じっくり観たいです。
三上智恵監督の心意気と愛、権力に立ち向かう勇気と作品としての素晴しさに感服です!
予告編などからもわかると思いますが、大々的に宣伝しにくい内容も含め、私たち、こどもたち、動物たち…が、これからハッピーに生きるために、多くの人がまだ気づいていない重大なことを三上監督ならではの視点と貴重な映像の数々、島の暮らしや島の若者、伝統文化とともに映し出して伝えてくれています。終始目が離せませんでした。
今まさに観る価値のあるノンフィクション映像。
あまり関心のなかったママさんも観た後で「涙がとまりませんでした。沖縄に行かなきゃと思いました」と言っていました。
自衛隊や基地の話で、心が痛みそうな映画…という先入観を取り払って、こどもたちに幸せになってほしいと願う方たちにぜひ観てほしいです。
是非観て欲しい
憲法記念日を前に。
『標的の島 風かたか』を観て来ました。
「雨風ぬ吹ちん渡るくぬ浮世
風かたかなとてぃ産子 花咲かさ」
この歌詞を受けて稲嶺名護市長が、沖縄の米軍属による女性殺害事件の追悼集会で、「私たちは今回も風かたかにもなれなかった」と涙ながらに語りました。
「風かたか」とは、風よけ、防波堤のことです。
映画では一連の沖縄に対する国策を前に、県民の一人ひとりが風かたかになると信じて、行動を起こす姿がリアルに描かれています。
87歳の女性は、毎日ゲートに立ちながら、なぜ、ぶれないのかと尋ねられると、「私は激戦の中を逃げまどった。私がぶれたら死んだ人に申し訳ない。だって死体が浮いて血が混じった水を飲んで生き延びたんだもの」と語ります。
「てぃんさぐぬ花」(ほうせんかの花のこと)の歌が好きだという女性は、歌詞にある「親ぬゆしぐとぅや肝に染みり」(親の言うことは心に染みなさい)という言葉を受け、「戦禍の中で苦しんだ先祖がいる。私たちは小さい頃からその話を聴いて心の底に平和を求める血が流れている」と語ります。
病床にありながら、ゲートに座り込むリーダーの山城さん(5ヶ月、器物損傷の罪で拘留された人)の運動家としての姿勢、防衛省の若い職員の不誠実な対応に沖縄が戦争でどれだけの悲劇にさらされたかを言って聞かせる照屋議員の言葉の重み、宮古島では賛否で二分される住民の悲劇、座り込みに対する公権力の暴挙と日本人がしっかりと軸に持っていなければならない覚悟のようなものを改めて確認した映画でした。
そしてゲートの座り込みを決めた若者が、自分は座り込んだからと言って何も変わらないと思っていたが、そこで座り込みをしている活動家に、「あなたはなぜ座り込みをしているのか」と尋ねたら「この時代、この時に、戦争に反対した平和を切望した人間がいたということが歴史に刻まれます」との返答があり、自分は座り込むことを決めたと語っていました。
明日の憲法記念日を前に、共謀罪成立、憲法改正を前に、私たちはどう行動していくべきなのか。
何が日本にとって本当の風かたかになるのか、しっかりと考えて行動を起こしたいと感じた一日でした。
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