劇場公開日 2017年12月8日

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「中途半端で退屈かつ平凡な作品」オリエント急行殺人事件 はぎのゆさんの映画レビュー(感想・評価)

0.5中途半端で退屈かつ平凡な作品

2017年12月16日
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鑑賞方法:映画館

寝られる

舞台俳優としての活動を重視している監督への期待感からみにいった。

旧作のスター揃い踏みの超豪華キャスティングがもたらすワクワク感ではなく、もっと演劇的構成、たとえばクリスティの『ねずみとり』のようにシンプルな心理劇的手法による重層的な演出、群像劇に近いのなら『ドッグヴィル』のような斬新な切り口などを期待していた。

誰が作るにしろ演じるにしろ、旧作のゴージャス感を超えることは無理だと思っていたからだ。

が、この映画は旧作の再現リメイクに徹したようだ。
CGを使って走るオリエント急行を俯瞰で映したり、車外空間をリアルにみせたり、客車の調度などに贅を凝らしたり、脱線車輌の復旧作業をリアルに挿入したり、肉付けした場面はある。

では、それで作品がよくなったか?と問われれば、旧作がなければ、としか答えられない。

かつて映画が銀幕と呼ばれ、セレブの住処ではなく異世界別世界だった時代にまさしくその時代のそれも全世界のスターだった人の放つオーラと、ハリウッドショービジネス業界セレブとして仕事をこなしている現代の映画俳優が醸し出せる存在感とはまったく違っていて当然だからこそ、スターの競演作品だった旧作と今作とではそのアプローチを変えなければならないはずだったのだが、なぜか、旧作再現リメイク映画だったという不思議。

演出の差が腕の見せどころだったはずが、再現して何をしたかったのだろう?
さっぱりわからない。

という訳でこの映画は残念ながら、実に凡庸で退屈だが大層お金はかけましたな、バブリーかつ安易なものとなり、特殊メイクとCGもここまでリアルになってますな営業カタログみたいな仕上がりになった。

旧作が傑作である以上、リメイクするのは挑戦だし、どう挑戦したかが最も重要だと思うが、再現リメイクするなら一言。
もっともっと天文学的に金をかけて、このキャスティングはマジありえない!ってくらいの配役にしなさい。
以上。

はぎのゆ