「それでもやっぱり面白い‼️」キングスマン ゴールデン・サークル 琥珀さんの映画レビュー(感想・評価)
それでもやっぱり面白い‼️
トランプ大統領的なものやネット企業の寡占化への恐れと皮肉を込めた作品と受け取りました。
・ひとつの事象を強調することで、全体もそうであると短絡的に決めつけること(メキシコやイスラム教圏の人びとや難民への対応等)がいかに社会から多様性というものを奪い、結果的には多くの善良な人びとの尊厳や自由を損なうものであるか。置かれた環境や状況次第では白人のエリート官僚だろうが、王女様だろうが、この映画のようなことは起こり得るのに、チャンスも与えられなくなる窮屈な社会となることへの恐怖。
・社会の行動規範が個々人の価値観の集積でなく、ネット(映画では麻薬に置き換えている)を介して均一化されていくことへの恐怖。
ジュリアン・ムーアがたった一人で世界を牛耳れる可能性を示したのは、正にその象徴。
今やAmazonやGoogle等の寡占企業の出現により、社会通念や行動の前提が、我々が無自覚のうちに、私企業の収益や株価の上昇のための誘導で作られている(例えば、Siriによる分析や提案が既に多くの人の行動に影響を与えている)。
前作に比べて物足りなさを感じる人が多いのは、このようなメッセージ性の強さ(本当の敵はジュリアン・ムーアではなく、多様性が奪われ、価値観が均一化されていく社会)が、映画的なダイナミズムを減殺しているからだと思います。
なのにつまらない時間は1分だってなかったのは凄いとしか言いようがありません。