「差別と戦う系映画」ドリーム 114645さんの映画レビュー(感想・評価)
差別と戦う系映画
NASAで働く黒人の女性数学者達の映画。
主演の黒人女性3人が良くも悪くも強すぎる。弱さを殆ど感じさせないのでリアルリティに欠ける。そこが爽快で気持ち良いのかもしれないが洋画っぽさを感じさせられた。振れ幅が小さく、人間味が薄く感じた。
映画を観る前にポスターや公式サイトの情報で想像した通りの映画だった。テンションや雰囲気、展開までもが予想通りで、もっと期待を裏切った演出も観たかった。
映像はムーンライトに近いものでボケが物凄く、映したいものをハッキリとさせていた。味がないようで私はあまり好まなかったが、分かりやすかった。ピントが合ってないカットが何個か観られたのが少し残念。
音響は音量の幅が広く、音楽をかけるだけでも少しずつ音量が違っていたのが印象的。細かくシーンを理解し、魅せる努力をしていることが感じられた。
第89回 アカデミー賞で作品賞を受賞した"ムーンライト"を鑑賞した時も同じようなことを思ったが、黒人差別や性的差別、女性差別など、様々な差別があるが自分がその差別に遭ったことがないので、どうしても当事者の気持ちになること、思うことができない。辛い、悲しい、苦しいというのは分かるが、完璧に理解することが出来ないのが惜しい。
差別を題材にする映画は昔からあるのだろうが、差別の本質を理解して作っているかどうかはわからないし、今回の作品だって黒人が監督という訳でもないので、遣る瀬無い気持ちになる。
差別と戦う人を映す映画を作るなら、実際にその差別に遭った人々に話を聞き、できるだけ当事者に近い処まで行かなければ、当事者や差別を受けている全ての人に失礼だと思う。
少し言い過ぎた部分もあったが、今の私にはそう思える。合っていなくても、間違っていないと思う。
差別ものというジャンルが出来つつある気がするが、決して軽くするのでは無く、本質も魅せることが大事だと思う。ドリームではそういう面もみられたので良かったと思う。